【内田雅也の追球】投手、3ランと「凡事」

[ 2025年3月17日 08:00 ]

プレシーズンゲーム   阪神3―0ドジャース ( 2025年3月16日    東京D )

<阪神・ドジャース>5回、スミスの打球を二塁に送球する中野(撮影・光山 貴大)
Photo By スポニチ

 3点本塁打で得点をたたき出し、好投好守での快勝となれば、どうしてもアール・ウィーバーの名言を連想する。1960~80年代、大リーグ・オリオールズで監督を務め、リーグ優勝4回、70年にはワールドシリーズを制した名将である。

 「野球で勝つためにカギとなるのは」として「投手力、守備力、そして3ランだ」と語った。

 バントや盗塁、ヒットエンドランといった小技を好まず、走者をためて長打で大量点を狙う戦法を前面に押し出した。

 阪神が昨年「世界一」のドジャース相手に見せた試合運びは、まさにウィーバーの言う3要素が絡み合っていた。

 3ランは、佐藤輝明が放った。4回裏無死一、三塁。サイ・ヤング賞2度の左腕ブレーク・スネルの高め152キロ速球を右翼席に運んだ。2ボール―2ストライクと追い込まれ、縦割れのカーブや横に切れるスライダーもあるなか対応した。

 1回裏2死では3ボール―0ストライクから同じ高め速球を強振して遊飛に凡退。振幅を小さくして修正したのだろう。

 投手力は、先発才木浩人が5回、救援陣4人が1回ずつ投げ、三塁を踏ませなかった。

 そして守備力である。

 この日ただ一度のピンチ(走者得点圏)だった6回表2死一、二塁。フレディ・フリーマンが放った猛ゴロを二塁手・中野拓夢がうまくさばいた。ライナーが直前でハーフバウンドする難しい打球に、体を逃がしながらグラブにおさめた。

 中野は5回表無死一塁でも同様のハーフバウンドを同様にさばき、4―6―3併殺を完成させていた。8回表無死一塁では遊撃手・木浪聖也も同様のハーフバウンドをさばいて6―4―3併殺としている。

 実はウィーバーの名言で「守備力」と訳される言葉は英語「fundamentals」。つまり「基礎」「基本的なこと」の意味である。

 華麗に見えた守備だがキャンプから繰り返す基本練習が生きている。

 この日の試合前練習。体調不良で欠場のムーキー・ベッツが短距離ノックでゴロをさばくドリルを繰り返していた。一流大リーガーもまた、基本練習を重んじていた。

 監督・藤川球児は試合後「凡事徹底でやっていますから」と話した。凡事が大事を生み出せることを証明した勝利だった。 =敬称略= (編集委員)

続きを表示

「阪神」特集記事

「大谷翔平」特集記事

野球の2025年3月17日のニュース