日本ハム・栗山CBO 自然に無駄なものはない 雪の上を軽やかに走る名馬たちを見て気付かされた

[ 2025年1月28日 06:00 ]

<日本ハムCBO栗山氏「自然からのたより」>栗山英樹氏連載用 色紙

 侍ジャパン前監督で日本ハム栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO=63)による連載「自然からのたより」は、自然の営みには全て意味があるということについて。年初めに北海道安平町にある社台スタリオンステーションを訪問したとき、雪の上を軽やかに走る名馬たちを見て、自然の見事な秩序と調和に気付かされた。それは人間も同じなんだということを教えてくれる。

 自宅のある北海道栗山町は今年、かなりの大雪だった。除雪機を稼働させ、年末から雪かきの毎日。仕事で出かけるにしても、ちょっと移動するだけで一苦労だ。「今年は本当に大変だなあ」。そんな思いが積もっていた年初め、安平町にある社台スタリオンステーションを訪ねた。

 数々の名馬たちが種牡馬としてけい養されている牧場。すぐ近くにあるディープインパクトの墓参りもさせてもらい、雪の上を気持ちよさそうに駆ける名馬たちの姿を見て、ハッと思った。雪かきで大変な思いをする雪も馬たちにとっては、まるで心地のいいじゅうたんのようだった。

 自然に無駄なものはない

 これは、偉大な哲学者のアリストテレスの名言だ。自然界の全ての現象やプロセスには必然性と目的があるということ。考えてみれば、自然の営みには本当に無駄がない。前々回の連載で書いた落ち葉のように。何万、何百万枚という落ち葉はやがて土に返り、木を育て、水を育む。その一枚一枚が確かな使命を持つ。見事なまでの秩序と調和。この雪だって、雪の中で保存して越冬させる雪下野菜を育てたり、雪解け水となって大地を、人を潤す。長い年月でつくり上げられた自然の絶妙なバランスだ。

 そんな無駄のない自然を見て思う。人々の人生も同じではないだろうか。年齢を重ねると、役割が終わったと感じたり、体を悪くすると自分が家族に迷惑を掛けていると思ってしまうとか、自分の存在に「?」マークがついたりする。でも、自然界のように、うまくいかないことにも意味がある。失敗しそうだからやめるのは罪で、失敗しないと分からないことがある。苦労には意味があるんだと思えば、自分に少しでも自信が持てる。自然と同じで、人が生きることにも無駄はない。

 自然には全て意味があるんだと心にずっと思っていた。雪上の名馬たちを見て、改めて思いを強くした。

 ▽アリストテレス 紀元前の古代ギリシャ期に活躍した偉人で、西洋最大の哲学者の一人。プラトンの後継者であり、ソクラテス、プラトンらの哲学を継承して体系づけ、「万学の父」ともいわれる。さまざまな著書を残し、後の諸科学にも多大な影響を与えた。人間の本性は「知を愛する」ことにあると考えた。哲学を意味する英語「フィロソフィー(philosophy)」は、「知(sophia)を愛する(philein)」というギリシャ語に由来する。

 ▽社台スタリオンステーション 北海道安平町にある種牡馬をけい養するための牧場。日本競馬界を代表する実績を持ち、ノーザンテーストやトニービン、サンデーサイレンスなど欧米諸国から名種牡馬の導入で革命をもたらした。引退後にけい養されていたディープインパクトの銅像が厩舎の前に、墓は同スタリオンの近くにある。レーティング世界一だったイクイノックス、無敗の3冠馬コントレイルをはじめ昨年引退したドウデュースもけい養されている。

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