医師「見えなくなるかも…」 失明危機から輝きだした甲子園選手の夢 中大・加賀谷三亜土主務
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記者は前職の公務員(行政職員)時代にスポーツ文化振興を担当し、スポーツにおいて「する」「みる」「支える」のどれもが欠かせないと業務を通して学んだ。だからこそ、なかなかスポットライトの当たらない「支える」人を報じることが重要だと思っている。
20年にアマチュア野球担当となり5年目を迎えた。取材経験から「良いチームには優れたマネジャーあり」と信じている。野球部に所属しながら選手とは異なり「完封勝利」も「本塁打」もないマネジャーたちの活躍を記していく。
「主務」。大学スポーツ経験者やファンでなければ、聞き慣れない言葉かもしれない。選手たちをまとめ上げるリーダーが「主将」であり、野球部の運営を担い、部外との窓口も担当するマネジャーたちのトップを「主務」という。高校より自主性を求められる大学野球部では重要度の高い存在。選手だけではなく主務にも1人、1人にドラマがある。
東都大学野球リーグの名門・中大。昨秋の新チームから主務となった加賀谷三亜土(さあど)マネジャー(3年)はいつもニコニコ笑顔を絶やさない。だが、彼には壮絶な過去と、大志がある。
「チームとしては優勝という目標があるんですけど今まで15年以上1部に残っているので、まずはそこが最低ライン。絶対に死守しないといけない気持ちを主務として持っています。チームにどれだけ貢献できるか。しっかりやっていきたい」
秋田県秋田市出身。小2で第一歩を踏みしめた野球道を突き進み、高校は5度の甲子園出場を誇る秋田中央に進学した。主に二塁手として1年秋からベンチ入りし、チームが甲子園出場を果たした2年夏には背番号14で聖地の土を踏みしめた。順風満帆な野球人生は1つのアクシデントで一変した。
最上級生となった2年秋の新チーム。秋季大会初戦の前日だった。いつもの練習、いつものシートノック。そしていつもの打球が、イレギュラーバウンドで左目上部に直撃した。すぐに病院に運ばれ「結膜下出血」の診断。ひどく腫れ、視界は真っ暗だった。医師からは「見えなくなるかもしれません」と言われた。2度と視力が戻らない可能性があったが「試合前にやってしまった…」と一番にチームのことを心配した。
翌日の初戦、秋田中央ベンチには眼帯をした加賀谷の姿があった。その後は左目の自然治癒を待ったが視力は極端に落ち、しばしば焦点が合わなくなることも。野球選手は目が命。プレーヤーとして「ここまでだな…」という確信があった。その変わり、以前からぼんやりと描いてきた「教員免許を取って高校野球の指導者になりたい」という夢は明確になった。最後の夏は背番号4を手に入れたが、試合に出場することなく高校野球とお別れすることになった。
「教師と指導者になるために」。加賀谷は夢の実現へ向け、東都リーグの名門・中大を進学先に選んだ。単身、故郷から遠く離れた東京へ。「僕はずっと秋田にいて秋田しか知らなかった。指導者の接し方次第で選手は大きく変わる。いろいろな人と接して寄り添える考え方を持ちたかった」と焦点はバッチリ合っていた。バットとグラブを置き、チーム全体を俯瞰(ふかん)するマネジャーとして中大野球部に入部した。
中大には多くの名選手を育ててきた清水達也監督がいる。牧秀悟(DeNA)、北村恵吾(ヤクルト)ら頼れる主将がいた。西舘勇陽(巨人)ら夢に向かって地道に努力する選手がいた。その一瞬、一瞬が将来指導者になるための財産だった。あっという間に3年間が過ぎ、加賀谷が最上級生となった昨秋には主務の大役を任された。夢を理解している清水監督からは「先生になるのであればしっかり指示を出さなければいけない」とリーダーシップを求められた。加賀谷は「代表する立場になり自分の行動1つで周りが変わる」と責任の重さを痛感した。
加賀谷は春季リーグ戦中の5月に母校・秋田中央での教育実習に行くためにチームを離れる予定だ。優勝と降格が紙一重なことから「戦国東都」といわれるリーグ戦中の離脱は痛恨だが仲間を信じるのみ。「高校の(佐藤幸彦)監督からよく言われたんですけど“暗い人間に明るい未来はない”と。やりがいを持って1年を過ごしていきたい」とニコニコ顔で言った。いまでも左目はボヤけることがある。それでも夢はハッキリと見えている。(柳内 遼平)
◇加賀谷 三亜土(かがや・さあど)2002年9月2日生まれ、秋田県秋田市出身の21歳。金足西小2年時に金足西野球スポーツ少年団で野球を始める。秋田北中では軟式野球部に所属。秋田中央では二塁手として1年秋からベンチ入り。3年時には副主将を務め、夏は背番号4。中大野球部にはマネジャーとして入部し、3年秋に主務就任。好きな言葉は「凡事徹底」。中大では文学部人文社会学科に所属。
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