「ドジャースの大谷」デビューの地 韓国・高尺スカイドームってどんな球場? 壁ドン弾見られるかも

[ 2024年1月16日 02:30 ]

開幕戦が行われる高尺スカイドーム(ストライク・ゾーン提供)
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 3月20、21日、世界中の野球ファンの視線が韓国・ソウルに注がれる。韓国での大リーグ初の公式戦となるドジャース―パドレスの開幕シリーズが開催される。ド軍に大谷翔平投手(29)、山本由伸投手(25)が移籍。パ軍にはダルビッシュ有投手(37)がおり、松井裕樹投手(28)が加入した。舞台の「高尺(コチョク)スカイドーム」とはどんな球場なのか。「韓国プロ野球の伝え手」として知られるジャーナリストの室井昌也氏(51)に聞いた。(取材・構成 鈴木 勝巳)

 15年に完成した韓国唯一のドーム球場「高尺スカイドーム」。取材で何度も訪れている室井氏は「元々はアマチュア野球専用の屋外球場として建設予定でした。そのためスタンドが狭く、座席数が少ない。チケット争奪戦はとんでもないことになりそうです」と話した。

 座席数はわずか1万6744。巨人の本拠地で約4万3500人を収容する東京ドームの4割弱しかない。当初は客席の上だけを屋根で覆う「ハーフドーム型」の予定が09年のWBC準優勝で国内の野球熱が高まり、完全ドーム化に計画変更された。韓国プロ野球・キウムの本拠地となっている。狭い敷地に建てられているためスタンドの傾斜が急で、狭い外野席のすぐ後ろは壁。「大谷選手がフリー打撃をすれば壁にばんばん当てるはず。両翼にある大型ビジョンを“大谷アーチ”が直撃するかも」と想像した。

 そんな中で「超」の付くプレミアシートがネット裏だ。「床がウッドデッキで座席は革張り、肘当ては木目調になっています。最大の利点は距離が近いこと。一、三塁寄りはネクストバッターズサークルが目の前です」。本塁からの距離が近く、フェンスも低い。キウムの試合では、選手とネット裏のチビっ子ファンがハイタッチするシーンが恒例。シーズン中は平日5万5000ウォン(約6000円)のネット裏席が今回の開幕戦で一般販売されるかは未定だが、打席に入る前の大谷とハイタッチ、という夢のような瞬間が待っているかもしれない。

 「韓国でも大谷選手の人気は非常に高い。漫画のようで人間的にも素晴らしい。そういうヒーローが韓国の人も大好きです」と室井氏。大谷、山本はド軍での記念すべきデビュー戦で、パ軍のダルビッシュ、松井と合わせて昨年3月のWBCで世界一に輝いた侍戦士4人が勢ぞろいする。さらにパ軍の金河成(キム・ハソン)と、今季加入の高祐錫(コ・ウソク)は凱旋試合。空前の盛り上がりは必至だ。3月20、21日。韓国の地元ファン、日本、米国から現地を訪れるファンはもちろん、世界中の野球ファンの熱い視線が、高尺スカイドームに注がれる。

 ▽高尺スカイドーム 09年に着工し15年に完成。総工費は約1948億ウォン(約214億円)。両翼99メートル、中堅122メートルで外野フェンスは高さ4メートル。天井は最も高いところで67・59メートル。17年WBC、19年プレミア12でも使用されたほか、多くのアーティストらがコンサートなどを行う。イベント開催時の座席数は約2万5000。所在地はソウル市九老区京仁路。

 ≪ソウル中心街から12キロ≫球場はソウルの中心街から南西へ約12キロ。最寄りの地下鉄1号線の「九一(クイル)」駅の2番出口から外野席入り口まで徒歩2~3分で着く。ただ、今季のキウムの1試合平均観客数はリーグ10球団のうち8位の8220人。車社会の韓国にあって、同球場は一般向けの駐車場がないのが理由の一つだという。また「チキンとビールが韓国の野球観戦の定番」(室井氏)という場内のグルメの評判もいまひとつ。それでも周辺には繁華街があり、試合の前後に食事を楽しめる。「持ち込みの制限もないので買ってから入場する人も多い」(同)という。

 ≪ブルペンは地下≫高尺スカイドームは韓国プロ野球の本拠地球場で唯一、グラウンド全面が人工芝。塁間部分だけが土になっており、切れ目でバウンドが変わる「内野手泣かせ」のグラウンドだ。ブルペンはベンチ裏の地下に設置。仮に山本、ダルビッシュが開幕投手を務め、松井がリリーフ登板の機会があれば、地下で準備を整えてグラウンドに登場。大歓声を浴びることになる。

 ◇室井 昌也(むろい・まさや)1972年(昭47)10月3日生まれ、東京都出身の51歳。02年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。著書「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑」(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、韓国では06年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当。KBOリーグで記者証を発行されている唯一の外国人。「ストライク・ゾーン」代表。

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