ヨコ、日本一になったよ!同期入団の阪神・岩貞、岩崎、梅野らが鹿児島で盟友に報告

[ 2023年11月20日 05:15 ]

横田慎太郎さんが1人暮らしをしていた鹿児島のマンションを訪問し、遺骨の前で手を合わせる(右から)岩崎、陽川、岩貞、梅野(撮影・遠藤 礼)
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 ヨコ、日本一になったよ!阪神・岩貞祐太投手(32)、岩崎優投手(32)、梅野隆太郎捕手(32)、西武・陽川尚将内野手(32)が19日、2013年ドラフト同期入団で、今年7月に脳腫瘍で亡くなった横田慎太郎さん(享年28)が生前、1人暮らしをしていた鹿児島県内の自宅を訪問した。阪神勢3人は横田さんの遺骨の前でリーグ優勝と日本一を報告するとともに、拝借していた現役時代のユニホームを父・真之さん(60)、母・まなみさん(62)に返還。改めて亡き同期の思いを胸に刻み、球団史上初の連覇を約束した。

 秋の激闘を制して頂点に上り詰めても、岩貞、岩崎、梅野の3人には、まだやり残していたことがあった。早朝から岩貞、梅野が飛行機、岩崎が新幹線に乗り込んで向かったのは鹿児島県日置市。遺骨があり、横田慎太郎さんが生前、1人暮らしをしていたマンションを訪問した。

 「お久しぶりです。ヨコに日本一を報告しに来ました」

 リーグ優勝、日本一の胴上げ投手となり背番号24のユニホームを手に何度も宙を舞った岩崎は力強く言った。出迎えたのは、父・真之さんと母・まなみさん。2人は横田さんが亡くなった後、住んでいた実家からこのマンションに移住して生活している。横田さんの息遣いも感じられそうな空間。昨年、西武に移籍した陽川も含めた4人は、まず線香に火をともし、遺骨の前で手を合わせて祈りをささげた。

 ヨコ、日本一になったよ――。

 亡き同期に、最高の報告をすることができた。梅野は「日本一の報告をヨコにできて本当に良かった」としみじみと語った。そして岩貞は、紙袋からあるものを取り出し「力になりました」と母・まなみさんに手渡した。リーグ優勝直前に「ヨコも胴上げに参加させたい」と両親から拝借していた、横田さんが現役時に着用していた背番号24のユニホームを返還。さらに選手が特注し、日本一のビールかけではびしょぬれになった2023年仕様の「YOKOTA 24」のユニホームもプレゼント。岩崎は「ビールのにおいが取れてなかったら、すみません」と笑い、母・まなみさんは「皆さまのお心が本当にうれしい…」と目を潤ませた。

 横田さんの部屋で、すしをつまみ、まなみさん手作りのにゅうめんをすすりながら思い出話に花も咲かせた。「ヨコは一度、ウインターリーグの台湾で迷子になったので、その後からはずっと僕と陽川が付いてました」と岩貞。岩崎は「入団会見の前日、泊まっていた高級ホテルでバスローブ姿で写真撮ったな…」と10年前を思い出し、梅野は「きれい好きのヨコの寮の部屋は、いつもきれいだったな」と、その横顔に思いをはせた。

 聞いていた母・まなみさんが「慎太郎もきっとこの部屋のどこかで笑って話を聞いてるはずです」と言うと、4人はホオを緩めた。日本一の報告を終えた岩貞、岩崎、梅野は、次なる目標へ向け、声をそろえた。

 「連覇して、またヨコに会いに来ますね」

 前日18日が月命日で、訃報から4カ月がたった。限られた時間でも実現した13年ドラフト“同期会”。背番号24が見守る中、来季グラウンドでプレーする阪神勢の新たな使命は球団初の連覇だ。大好きな“お兄ちゃん”たちとの再会を喜ぶ横田さんに背中を押され、3人は鹿児島を後にした。 (遠藤 礼)

 ▽阪神リーグ優勝&日本一と背番号「24」のユニホーム ドラフト同期入団の岩貞が9月12日に共通の友人を通じて鹿児島在住の横田さんの母・まなみさんに、横田さんが現役時代に着用した背番号「24」のユニホームの借用を申し入れ、同14日の巨人戦前に甲子園球場に到着。リーグ優勝の瞬間に梅野がベンチから持ち出し、岩崎とともに胴上げされた。リーグ優勝後は即座に遺族に返却する予定だったが、岩貞がチームメートと相談して借用期間延長を願い出て快諾を受け、甲子園球場のロッカーに大事に保管。11月5日の日本一達成時にも京セラドーム大阪で、岩崎とともに3度、宙を舞った。

 横田 慎太郎(よこた・しんたろう)1995年(平7)6月9日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島実から13年ドラフト2位で阪神入団。3年目の16年開幕戦に「2番・中堅」で1軍初出場。17年2月に脳腫瘍が判明し、同年オフに育成選手となった。19年限りで現役引退。23年7月18日、永眠。1軍通算38試合出場、打率.190、本塁打なし、4打点、4盗塁。現役時は1メートル87、94キロ。左投げ左打ち。

 ○…13年ドラフト同期組で、昨年の現役ドラフトで西武へ移籍した陽川も、横田さんとの“再会”を喜んだ。「亡くなったことを知った時は本当に驚いて…。本当に先輩からもかわいがられ、後輩からも慕われる人間だった」。この日は住居のある東京から空路で鹿児島入りし、岩貞らと合流。「今年中に一人でも手を合わせに行こうと思っていたので。このメンバーで行けて良かった」。タイガースを離れても、横田さんの思いを背負ってプレーする気持ちに変わりはない。

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