慶応イヤーだ!慶大リーグV 甲子園優勝“弟”に続いた ソフト3位・広瀬が20号決勝弾

[ 2023年10月31日 05:00 ]

東京六大学野球最終週最終日   慶大5―3早大 ( 2023年10月30日    神宮 )

<早大・慶大>3回、スタンドを総立ちさせる先制2ランを放つ慶大・広瀬(撮影・木村 揚輔)
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 慶応の年だ。30日、早慶戦の3回戦で慶大が早大に5―3で勝利。2勝1敗で勝ち点5とし、4季ぶり40度目の優勝を決めた。ソフトバンクからドラフト3位指名を受けた広瀬隆太内野手(4年)が、3回に決勝打となる先制の左越え2号2ラン。早大・岡田彰布(現阪神監督)に並ぶリーグ歴代4位の通算20号で、勝利に導いた。今夏の甲子園では慶応(神奈川)が107年ぶりの優勝。早大戦200勝の節目の勝利で“兄弟V”を飾った。

 爽やかな秋の神宮に「若き血」が鳴り響いた。3回無死一塁。広瀬が、甘く入った初球の直球をフルスイングした。左翼席中段への特大の先制2ラン。主将のガッツポーズを合図に得点時に奏でられる応援歌が、大歓声とともにスタートした。

 「甘い球を一発で仕留められた。大舞台でも冷静に野球ができた」

 1勝1敗で迎えた第3戦。勝ち点を挙げた方が優勝の伝統の早慶戦で、主将の一発が勢いをもたらした。12安打で5得点して快勝。勝ち点5の完全優勝は慶大では11年春以来となった。26日のドラフト会議でソフトバンクから3位指名を受けた広瀬。指名後初の一発は、リーグ戦通算20号。早大・岡田彰布と並ぶ歴代4位タイとし「偉大な方に並べて光栄。岡田監督がプロで活躍したように頑張りたい」と決意を新たにした。

 小学校から大学まで慶応一筋の慶応ボーイ。母校の慶応高が夏の甲子園で107年ぶりの優勝を飾った。後輩たちが三塁側内野席で見守る前で、先輩としての意地を見せる優勝。「彼らは日本一で僕たちはまだリーグ優勝なので、なめられていると思う」。広瀬は先輩らしく、余裕のジョークを飛ばしたが、堀井哲也監督は「高校の日本一が刺激になった」と“兄弟V”に目を細めた。高校、大学ともに掲げる「エンジョイ・ベースボール」の慶応旋風だった。

 ライト兄弟が人類初の有人動力飛行に成功した1903年に、早慶戦が始まった。プロ野球より歴史深い伝統の一戦。広瀬はこれが早慶戦3本目のアーチとなった。本塁打には「試合の流れを変えるプレー」と譲れない哲学を持つ。早大戦200勝のメモリアル勝利に導き、40度目のリーグ優勝に花を添えた。

 東京六大学代表として明治神宮大会(11月15日開幕)出場が決まった。「リーグ優勝はもちろん、日本一もチームとして目標にやってきた。そこは変えずにもう一度頑張りたい。日本一になりたい」と広瀬。「ダブル日本一」に照準を定めた。(柳内 遼平)

 ▽東京六大学の付属・系属高とのダブル優勝 同一年の夏の甲子園での付属高と、直後の秋のリーグ戦での大学の同時優勝は過去1度。06年夏の甲子園で斎藤佑樹を擁した早大の系属校・早実(西東京)が優勝。同年秋のリーグ戦で早大が優勝を飾った。付属高の優勝は他に2度あるが、1916年夏の甲子園で慶応普通部(東京)が優勝した年は東京六大学結成前。60年夏の甲子園で法政二(神奈川)が優勝した年は法大は春優勝も、秋は早大が優勝。

 ▽慶応の今夏の甲子園優勝 神奈川大会決勝で横浜に劇的勝利し、5年ぶりの夏の甲子園出場。初戦の北陸(福井)との2回戦を9―4で制し、3回戦は広陵(広島)に延長10回タイブレークの末、6―3で勝利。準々決勝で沖縄尚学、準決勝で土浦日大(茨城)を下した。決勝は2年連続優勝を狙う仙台育英(宮城)と対戦。丸田の夏決勝史上初の初回先頭打者アーチで波に乗り、大応援団の後押しも受け8―2と快勝。大正時代の第2回大会以来、107年ぶりの優勝を飾った。

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