昨季の地区4位チームから躍進を遂げたダイヤモンドバックス ルール変更に合わせた新たな勝利の方程式

[ 2023年6月26日 19:01 ]

ダイヤモンドバックスのロブロ監督(AP)
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 ダイヤモンドバックスは昨季は地区4位だったが、ここまで47勝32敗でナ・リーグ西地区の首位を走っている。サラリー総額は1億1647万ドル。2億ドルを超えるパドレスやドジャースよりも好成績だ。

 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」はピッチクロック、けん制球の制限といった新ルールをうまく利用し、見事に躍進を遂げたとして、現場の責任者に取材している。

 トーリ・ロブロ監督はルール変更があると知っていて準備してきたのではないと言う。「我々はここ数年、スピードがあって身体能力の高い選手を中心にドラフトしてきた。そこにこの一連のルール改正で、我々は良い位置にいると思った」と説明する。

 チーム本塁打数は91本で30球団中13位、出塁率は・331で8位である。しかしながら得点数は409点で4位だ。塁に出れば、ホームへの生還率は35%とナリーグで一番高い。それが可能なのは、俊足の選手が多く、キャンプ中から良いベースランニングをしようと、周到に準備してきたからだ。

 ヒット以外でも、フライ、ワイルドピッチ、ボークなどで、抜け目なく次の塁を奪う。チーム盗塁数は79個と全体3位で、成功率は86・8%とトップだ。走者が一塁にいて、二塁打で一気にホームに生還した回数もナ・リーグ1位だ。

 一方で、相手の盗塁成功率は67%と最も低く抑えている。攻撃面だけでなく守備面でも新ルールにきちんと対応している。捕手だけでなく、投手も協力して盗塁を阻止する。ロブロ監督は「スモールベースボールの重要性はずっと話し合ってきた。うちにとってとても大事。細部にもこだわり、何度も練習したし、リハーサルを重ねてきた」と明かす。

 なるほどと思うのは、昨季から新ルールでプレーしていた3Aのスタッフの経験と知恵を最大限に利用していること。春のキャンプ中、ミーティングは彼らが主導していたそうだ。ピッチクロックも巧みに利用する。ジョシュア・ロハス三塁手は「ピッチクロックがカウントダウンで5秒、4秒と残り少なくなってくると、投手は投げるのに集中するしかない。そのタイミングでスタートを切る。中には、盗塁のリスクを負いたくないチームがあるけど、うちの選手はみんなが積極的に走る。マインドはアグレッシブに行こうなんだ。メジャーのレベルでは一つ一つのベースを奪うことが重要。次の得点につながるし、勝ちにもつながる」。

 ルール変更に合わせた新たな勝利の方程式。ダイヤモンドバックスが強いのは偶然ではない。

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