【何かが起こるセンバツ記念大会(1)】史上最強ホームラン「王」 覚醒の瞬間
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第95回選抜高校野球大会が開幕。今大会は5年ごとに開催される「記念大会」。一般出場枠が4枠増え36校出場の大会となる。過去の記念大会では後にプロ野球で活躍するレジェンドたちが躍動し史上初の完全試合が達成されるなど数々のドラマが演じられてきた。「何かが起こるセンバツ記念大会」第1回は1958年の早実・王貞治。
~前年センバツV 早実エースが2戦連発~
1958年早春の甲子園。第30回選抜高校野球記念大会。東京・早稲田実業学校のエースにして3番打者、王貞治が左打席に立っていた。当時の高校生としてはがっちりとした体躯。前年春には紫紺の大旗を初めて関東にもたらしている。その夏の甲子園ではノーヒットノーランを達成。高校球界のスターとしてその名は全国にとどろいていた。準々決勝、相手は伝統校の済々黌(熊本)王は立ち上がりから済々黌打線につかまり大苦戦。4回2度目の打席に向かった。エース城戸博から右翼席に特大の本塁打をたたき込んだ。2回戦の御所実(奈良)戦に続く2試合連続アーチは当時の選抜大会記録。日本プロ野球の金字塔868本のホームランを積み上げた「世界の大打者・王貞治」が甲子園で羽ばたいた瞬間だった。
~聖地デビューはバント安打 投手評価はNO・1~
王の甲子園デビューは早実1年生、16歳の夏。1956年8月12日第38回全国高等学校野球選手権大会の開幕戦。新宮(紀和)との1回戦だった。1点を追う9回、3番・醍醐猛夫(元毎日)が四球。4番・徳武定之(後に定祐=元国鉄など)の三遊間安打で無死一、二塁。5番・左翼で先発していた王の三塁前の送りバントが内野安打となる。これが王の甲子園初安打。2回戦では敗れはしたものの2打数1安打。8回に甲子園初長打となる三塁打を放ちチーム唯一の打点を記録している。
大会屈指の左腕として注目され、見事優勝を飾った翌57年センバツでは初戦の寝屋川(大阪)戦では甲子園初4番も4打数無安打。準々決勝の柳井(山口)戦では打棒爆発。3回には左中間への先制二塁打。5回にも2死二、三塁の好機に適時打を放って4打数2安打2打点。準決勝、久留米商(福岡)戦では5打数1安打2打点と気を吐いた。決勝は高知商との対戦。初回左翼へ会心の先制二塁打を記録している。投手として準決勝まで3試合連続完封。力投の影響で左手の人差し指と中指を負傷。決勝でも指先からの出血は止まらなかった。ユニホームやボールを血で染めながらも、力投を続けた。後に巨人でチームメートとなり、スコアラーとして名をはせた小松敏宏(俊広)と投げ合い3失点完投勝利。投打に大車輪の活躍で紫紺の大旗をつかみとった。
57年夏の大会は初戦の寝屋川戦で延長11回ノーヒットノーランを記録。準々決勝では先制中前打を放つものの法政二(神奈川)に競り負け春夏連覇を逃した。
王の投手としての評価はうなぎ登り。57年秋季東京大会では最大のライバルである明治高(現明大明治)を撃破し優勝。翌58年センバツ記念大会の出場校に選出された。この選考会では前年秋の近畿大会で4強に進出していた浪華商(現大体大浪商)も出場校に名を連ねていた。後に巨人でチームメート、生涯の盟友となる張本勲が在籍。浪華商は一般生徒が刑事事件を起こし出場辞退。競演は実現しなかった。
~初本塁打は左翼へ 同じ日、長嶋はプロデビュー~
王にとっては4度目の甲子園となる第30回選抜記念大会。迎えた初戦の相手は御所実(奈良)立ち上がりから不調の王は4回まで2失点。自らの悪送球もあり伏兵にリードを許していた。迎えた4回裏、三塁内野安打で出た大久保を一塁に置き、カウント0―2からの3球目。柏本のウエスト気味の高め直球を強振。打球は左翼ラッキーゾーンに達した。これが全国の舞台で初めてのホームランとなった。「アウトハイのストレートでした。投げる方でコントロールが悪かった。しゃべることはそれだけです」ちなみに御所実戦が行われた1958年4月5日はプロ野球の開幕日。東京・後楽園球場では巨人―国鉄。黄金ルーキー・長嶋茂雄がデビュー戦で金田正一に4三振を喫した「伝説の名勝負」が演じられていた当日だった。後の日本野球の巨星ONがプロとアマ、2つの大舞台で輝きを放っていた。
春連覇へ視界良好と思われたが準々決勝では伝統校の粘り強さを思い知らされた。王は立ち上がりから済々黌打線につかまり3失点。打って返すしかない。4回、王が打席に入る。好投の城戸博から右翼スタンドに達する会心の2試合連続ホームラン。当時は木製バットの時代。戦後、この年までの12大会で最多本塁打は「4」。結果的に30回記念大会では王の2本を含み大会本塁打はわずか3本。王の長打力は際立っていた。2試合連続本塁打の記録は2001年に東福岡の下野輝章選手が3試合連続の記録を達成するまでのセンバツ大会記録だった。
反撃の糸口をつかんだかに見えたが「投手・王」は復調せず11安打を浴びてKO。センバツ連覇の夢は潰えた。同年夏、東京大会決勝の明治戦。延長12回表、4点を奪いながらその裏5点を失い逆転サヨナラ負け。5度目の甲子園出場はならなかった。
王氏は2009年スポニチ本紙連載「我が道」で明治高との決勝に触れ「延長12回、4点を勝ち越しながら、その裏まさかの逆転を食らう。限界にきていた私はこの回途中右翼に回り、同点後に再登板したが、サヨナラヒットを打たれた。『明日なき戦い』はもう嫌になった」と通年のリーグ戦を戦うプロ野球入りを決意した理由を語っている。30回記念大会での2試合連続ホームランがプロ入り後の打者転向への大きなステップになったことは間違いない。生涯868本塁打のうち甲子園球場で放った本塁打は66本を数える。(構成 浅古 正則)
※学校名、選手名、役職などは当時。敬称略
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