日本ハム・矢野コーチ 大田のGG賞獲得を確信したミス“翌日”の行動

[ 2020年12月25日 09:00 ]

ゴールデングラブトロフィーを受け取る大田(撮影・篠原岳夫)
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 今季、日本ハム・大田が苦節12年目でゴールデン・グラブ賞を初受賞した話題はファンの心を打ったはずだ。その受賞をシーズン中に確信していたのが、コーチ1年目だった矢野外野守備コーチ兼打撃コーチ補佐(来季から2軍打撃コーチ)だ。

 「泰示の“翌日”の行動を見て、獲ったと思った」。9月23日の西武戦(メットライフドーム)。大田は今季唯一の失策を犯した。3―4の5回無死二塁から栗山の右前打をファンブルし、適時失策。試合は5―6の僅差で負けた。翌24日の試合前練習。大田はアップを早々に切り上げると、内野で守備練習し、ステップを再確認。打撃練習の後も右翼で黙々とゴロに対してチャージを繰り返す姿があったという。

 「あの失策の後の泰示の“自分のミスでチームを負けさせてしまった。もう二度としないようにしよう”という気持ち、行動を周りの選手も投手陣も見ていた。コーチ会議でも“今日の泰示の練習の取り組みは素晴らしかったです。ああいう姿勢を若い選手たちは見習っていく必要があると思います”と言った」。以降は無失策で初の栄誉を手に入れたのだが、矢野コーチは守備に対してひたむきに取り組んできた姿勢を絶賛していた。

 西川との「相乗効果もあった」ともいう。矢野コーチは試合中、自身の経験と打球方向などのデータに基づいて中堅・西川に外野全体の守備位置の指示を出すが、「物凄く洞察力に優れている」という西川は、試合中の生の自身の考えに基づいて矢野コーチの指示とは反対に動くこともあった。それでも矢野コーチは西川に全面的な権限を与えており、ほとんどがシフト通りに打球が来て「遥輝の判断に助けられてアウトを取ったプレーが物凄く多い」と明かす。西川の予測に基づく守備位置変更で大田の守備力がさらに高まったそうだ。

 巨人時代から大田の苦労を近くで見てきた矢野コーチだけにコーチ冥利(みょうり)に尽きる受賞だっただろう。来季は2軍から大田のような熱い魂を持つ選手を1軍に送り込んでくれることを期待している。(日本ハム担当・東尾 洋樹)

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2020年12月25日のニュース