トップ選手なら4億円も高くない?高年俸は夢のための経費

[ 2010年12月23日 15:31 ]

 今オフの契約更改で年俸4億円に到達した巨人の阿部は「このご時世、すごい金額。責任を感じてやらないと」と表情を引き締めた。小笠原(巨人)岩瀬(中日)は4億3千万円。トップクラスの選手の年俸は依然、高額で推移している。

 それでも、巨人の清武球団代表は決して高くないと言う。「年俸水準は維持したい。次の人が夢を見られなくなり、飛び込んで来なくなる」。夢を売るプロ野球に必要な経費と捉える。

 2005年の労働政策研究・研修機構の調査では、従業員100人以上千人未満の企業に勤務する大卒男性の平均生涯賃金は退職金などを含めて3億3660万円。日本プロ野球選手会によると今季の平均年俸は3830万円で、入団時の契約金を含め“一生分”を稼ぐには、この平均年俸を維持しても8年が必要だ。清武代表は「選手寿命は非常に短い。高いとは言えない」と言う。

 米大リーグへの流出に対抗するため、国内球界の魅力を高める必要もある。「うちがリーディングカンパニーとして頑張ることが、一つの歯止めになるかもしれない。海外にしか夢がなくなったら悲しい」と話す。

 だが、巨人も無条件に高額年俸を払っている訳ではない。かつてはフリーエージェント(FA)補強に大金を投じていたが、今では選手育成に力を入れている。来季は3軍に当たる「第二の2軍」を創設する予定だ。

 厳しい経済情勢でも、年俸原資を抑制する考えはないという。清武代表は「育成制度ができてから雇用が2、3割増えている。この時代にそんな業界はない。雇用をどんどん増やし、チーム強化のエンジンにしたい。いろいろな試みがないと次の時代にいかない」と力説する。(金額は推定)

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2010年12月23日のニュース