奈良産大総監督 部員使い療養費不正受給

[ 2009年1月20日 06:00 ]

さえない表情でランニングする蕭一傑

 奈良産大野球部の新田泰士総監督(50)が奈良・三郷町内で経営する整骨院が、部員の氏名を使って架空の施術の申請をし、医師の診療報酬に当たる療養費を不正に受給していた疑いがあることが19日、分かった。

 不正な受給総額は数百万円に上る可能性もあり、奈良県と近畿厚生局が実態を調べている。同野球部で昨年ドラフトで阪神に1位指名された蕭一傑(ショウ・イッケツ)は「整骨院は僕が大学2年の終わり頃にできたのですが、月が変わるたびに名前を書かされていました」と困惑の表情。実際に通院はしていたが回数は水増しされていた。他の野球部員も「病院に行かない月に名前を書いていたように思う。親に“病院に行っていない時でも申請されている”と言われて不思議に思っていた」と話した。

 大学は調査委員会を設置して近く結果をまとめるが、記者会見に臨んだ藤原監督によると07年以降、藤原監督が整骨院から白紙の申請書を毎月数10枚受け取り、同時に渡される部員のリストを基に20~30人に署名させていた。部員がケガをした際などに整骨院に行かせており新田氏から「氏名の記入漏れがあった場合や、ケガの時にすぐ対応するため」と頼まれていた。今月14日に報道機関の取材を受け新田氏に確認すると「そういう形でやっていた。経営が苦しかった」と不正を認めたという。藤原監督は「野球部が積極的に関与したわけではない」とした上で「学生に申し訳ないことをした」と謝罪した。

 奈良県によると、部員の保護者が昨年9月ごろ、大阪府に「行ったことのない整骨院の施術の通知書が来た」と情報を寄せて発覚した。

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2009年1月20日のニュース