イチロー200安打!100年に1人の存在に

[ 2008年9月19日 06:00 ]

<ロイヤルズ・マリナーズ>8回、遊撃内野安打で一塁へ激走するイチロー

 【マリナーズ2-5ロイヤルズ】マリナーズのイチロー外野手(34)が17日(日本時間18日)、カンザスシティーでのロイヤルズ戦で3安打を放ち、8年連続200安打を達成。8回に遊撃内野安打を放ち、1894年から1901年にウィリー・キーラーがマークした大リーグ記録に107年ぶりに並んだ。日米通算安打は3070安打。通算3085安打の日本記録を持つ張本勲氏(68)=本紙評論家=超えへ、イチローは大記録の余韻に浸る間もなく突き進む。

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 試合後のクラブハウスでイチローは身ぐるみをはがされた。野球殿堂へ記録達成のグッズが送られるためだ。バット、スパイク、リストバンドにひじ当て…。キーラーが達成してから107年。8年連続200安打という眠っていた記録を呼び覚ました。

 「打った瞬間ヒットになると分かってしまった。超ファインプレーでアウトにしてくれないかなと。もうちょっと格好良く決めたかった」

 3回に右翼線二塁打、5回に三塁後方に落ちる内野安打でリーチをかけた。そして迎えた8回、メヘイの低めスライダーを当てただけの遊撃前へのボテボテのゴロ。イメージ通りのハイライトではないが、大リーグタイの偉業に変わりはない。達成時には帽子をとってクールに応えたが、試合後は「めちゃめちゃうれしい」と大声で笑った。

 「何としても(記録達成を)外せない年だったので、ゼロ(安打)の段階から強く意識しなくてはいけなかった。恐怖と対じするのが重たかった」。記録が途切れれば過去7年積み上げてきたものを失う。例年は170安打前後から記録と向き合ったのとは違った。開幕後も安打が伸びず、200安打ペースに乗ったのはシーズンのちょうど半分となる81試合目。チームの低迷という“外敵”とも戦った。それでも後半は70試合で100安打を重ねた。昨オフ、クーパーズタウンにある野球殿堂でキーラーの肖像画を目にして、固めた意志の強さで乗り切った。

 「100年以上も前の人とつながる。ここに夢がある」。だが100年に1人という希有(けう)な存在の高みにたどり着くには、心技体すべてが規格外である必要がある。小指への考え方1つもそうだ。小指は手に力を入れる瞬間に最も必要とされる部位だが「(右手小指は)バットに添えているだけで力はむしろ抜けている」と話す。力を込めるのではなく抜くことで、バット操作の柔軟性を出す。その感覚は「中学の時かな。バチッとフィーリングが来た」と言ってのけた。

 「日本時代から(年間200安打を)ずっと目指してやってきた。アメリカでも同じような気持ちでやっている。スタイルが変わっていない自分がいい」。張本勲氏の日本記録超えまで残り16本。そして来季は大リーグ新記録の9年連続200安打に挑む。今年、数千万円かけ最新鋭のトレーニングマシンに買い替えた。「いつもは1本のビールをきょうは2本で」と笑ったイチローの戦いに妥協はない。

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2008年9月19日のニュース