京産大・竹下 名キッカー広瀬監督の助言胸に高難度逆転PG成功「絶対決める気持ちだった」

[ 2021年12月27日 05:30 ]

ラグビー 全国大学選手権準々決勝   京産大27ー26日大 ( 2021年12月26日    熊谷 )

<日大・京産大>日大に勝利し元木コーチと握手を交わす京産大・竹下(撮影・西尾 大助)
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 関西王者の京産大が日大に1点差で競り勝ち、06年度以来15季ぶり8度目の4強進出を決めた。2点を追う後半36分、FB竹下拓己(3年)が逆転PGに成功。トライ数で下回りながら、強風下でも徹底してPGを狙う作戦が奏功した。初の決勝をかけ、来年1月2日に同大に圧勝した帝京大と国立競技場で戦う。明大と東海大もそれぞれ準決勝へ進んだ。

 23季ぶり関西王者になった今季の京産大には、得点パターンがある。体を張った守りとセットプレーで反則を得て、FB竹下がPGで3点を奪う形だ。

 日大に3本連続でトライを許して最大14点差を逆転された後半33分、スクラムで反則を誘った。例年なら、ラインアウトからのモールを狙いかねない場面で、不動の3年生キッカーが「ここは絶対ショット」と主張した。

 強い寒気の影響で、熊谷に8メートル超の強風が吹いた。追い風とはいえ、2点ビハインドの重圧もあり、右中間35メートルのPGは難度が高かった。だが、「絶対決める気持ちだった」と迷いはなかった。

 今季序盤、キックの精彩を欠き、広瀬佳司監督(48)に精神面の助言を仰いだ。返事は「自信を付けるには蹴り込め」。現役時代に「スーパーブーツ」の異名を取った名キッカーの言葉を愚直に守り、居残りの量を増やした。その結果、緊迫の場面で動じない心を持つようになった。

 WTB船曳にボールが動かぬよう押さえてもらい、右足を振り抜いた。残り4分。この日5本目のPG成功が逆転の1本になった。

 欠かせぬ得点源になった竹下によって、2年生の船曳は昨年から定位置のFBを追われた。指揮官にWTBへの転向を命じられた時は「いやだった」。だが、W杯に3度出場した元日本代表司令塔の目は正しかった。突破力が生き、日大戦は前半9分に個人技で先制トライ。12―7の前半30分には、決定的なピンチを救った。

 日大に完全に崩されたが、インゴール中央に押さえようとしたフランカー井上の一瞬の油断を見逃さず、ボールをはじき飛ばした。「トライを防げて良かった」。このスーパータックルなくして15季ぶり8度目の4強はなかっただろう。来年1月2日に帝京大に勝てば、チーム初の決勝だ。“広瀬チルドレン”が新しい歴史に挑む。(倉世古 洋平)

 《因縁の相手》京産大にとって日大は因縁の相手だ。83年度の対戦で大学選手権のチーム初勝利を挙げた後、この試合まで通算2勝2敗。広瀬監督は大学4年時の95年度に1回戦で煮え湯を飲まされた。47シーズン指揮を執った大西健元監督は19年度の初戦で敗れ、監督最後の試合になった。両チームは戦術も似ており、強いFWを武器にしてセットプレーで流れをつくる形を得意としている。

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2021年12月27日のニュース