ウルフパック 豪遠征初戦飾る、松田キック成功率100%

[ 2019年5月13日 05:30 ]

<ブランビーズB・ウルフパック>後半、トライ後のゴールを決める松田
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 ラグビーW杯日本代表候補で編成する「ウルフパック」は12日、オーストラリア遠征第1戦でブランビーズBと対戦し、66―17で勝った。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、49)が試合内容に不満を示す中、計10本のプレースキックを全て成功させたSO松田力也(25=パナソニック)を絶賛。田村優(30=キヤノン)とのポジション争い激化を歓迎。一方、スーパーラグビーのサンウルブズはブランビーズに0―33で完敗。今季2度目の零敗で、通算2勝10敗となった。

 赤いスパイクの右足から放たれたキックが、面白いようにゴールポストを射抜いた。前半はPG1本を含む計6本、後半も4本成功。4月27日のウェスタンフォース戦も全9本決めており、これで先発した2試合は成功率100%。外す気がしなかった?と問われると「そんなことはないですけど」と謙遜も、表情は明るかった。

 蹴った位置にも価値がある。10本中4本は、タッチラインと5メートルラインの間。厳しい角度をはね返し、しかも1本は右利きにとって最も難しい右隅から。後半側のゴールポストは、向かって左のポストが内側に傾いていたが「曲がっていたんですか?あまり意識していなかったです」と言うほどの集中力がパーフェクトに導いた。

 昨年12月2日のトップリーグ決勝トーナメント1回戦。トヨタ自動車に27―31で敗戦した責任を、3本のキックを外した松田は1人で背負って涙した。同15日のNTTコム戦も2本を外して迎えた後半ロスタイム、PGを外して2点差で惜敗。1本のキックの重要性、そして責任の重さを身をもって知った。

 スランプを打開したのは、原点回帰だった。昨年は飛距離を伸ばすために助走を長くしたが「変えて崩れてしまった」。そこで帝京大時代同様、左足から踏み出し3歩目で右足を振り抜く助走に変更。「いつも同じところに足を置いて蹴るのが大事。(長いと)ブレるので心地よくなかったが、今はいい感じ」。たった3歩でも、飛距離も伸びつつある。

 試合内容には不満を示したジョセフHCが「グレート。これで田村にプレッシャーがかかると思う」と称賛した松田の右足。頼りにする兄貴分であっても、ジャパンの10番は譲れない。

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