ウッズ 1876日ぶり復活のV どん底に沈んだ42歳が見せた不屈チャージ

[ 2018年9月25日 05:30 ]

米男子ゴルフツアーツアー選手権最終日 ( 2018年9月23日    ジョージア州イーストレークGC 7362ヤード、パー70 )

米ツアー5季ぶり優勝を果たしたウッズ(AP)
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 42歳のタイガー・ウッズ(米国)が2バーディー、3ボギーの71で回り、通算11アンダー、269で13年8月のブリヂストン招待以来、5シーズンぶりの優勝を果たした。初日から首位を守る“完全V”で復活をアピール。元世界ランキング1位も近年はプライベートでトラブルを続発し、腰痛で手術を繰り返すなどたびたび戦列を離れていた。この勝利で、米ツアー歴代2位の優勝回数を80の大台に乗せた。

 最終18番グリーン。総立ちのギャラリーが囲む中、ウッズは約10センチのウイニングパットを沈め、両手を上げてガッツポーズをつくった。タイガー・コールを浴びると、あふれそうな涙をこらえるように帽子のつばを下げる。実に1876日ぶりの復活優勝。79度の勝利を重ねてきたスーパースターでも、こみ上げる思いをこらえるのに必死だった。

 「泣かないように必死だったよ。とてもつらい時期を乗り越えてきたんだ。この勝利の意味は物凄く大きい」

 3打リードで迎えた最終日。1番で3メートルを沈めるなど、前半を1アンダーで折り返した。しかし、終盤はショットが乱れた。15、16番で連続ボギーを叩き、17番パー4ではティーショットを左ラフに打ち込むピンチ。それでも第3打を1メートルに寄せてパーセーブし、「本当に大きかった」。2位と2打差の通算11アンダーで逃げ切った。

 タイガーは終わった――。元世界ランキング1位の男が、そうささやかれるほど、どん底を味わった。09年の不倫発覚に始まった度重なるスキャンダル。故障にも苦しみ、16年シーズンは米ツアーに1試合も出場することができなかった。世界ランクはあっという間に1199位まで転落。特に苦しんだのは腰の痛みだ。「痛みなしに歩くことさえできなかった。自分の残りの人生がどうなるかと不安に思うこともあった」と振り返った。

 手術を決断すること4度。全ては、再び世界最高峰の舞台へ戻るためだった。今年1月にツアー復帰。首にテーピングを施してプレーをするなど決して万全ではない中、7月の全英オープンで6位に入ると、8月の全米プロは最終日まで優勝争いを演じて2位。「今年はばらばらだったゴルフを少しずつまとめてきた。そしてやっと一つになった」。そう言ってうなずいた。

 この勝利で節目の80勝とし、サム・スニードが持つ米ツアー最多の82勝まであと2つに迫った。「今、プレーできることをとても幸運に思う。続けていると、いつか追い抜くことができるかもしれない」。その言葉は、強いウッズの完全復活が、自身にはっきり見えてきた証でもある。

【ウッズに聞く】

 ――久々の勝利の味は?

 「これまで勝ってきたメジャー、プレーヤーズ選手権、世界選手権と同じくらいだ」

 ――感極まった様子だった。

 「仲間に支えられてここまで来た」

 ――18番での気持ちは?

 「2打リードしていたが、まだ何が起こるか分からないと思っていた。バンカーからグリーンに乗せて、これで勝てると思った。最後のパットを沈めたら、凄く感情がこみ上げてきた」

【ウッズ 復活までの苦闘】

 ☆09年11月 ウッズの不倫が発覚。さらに妻のエリン・ノルデグレンさんと自宅で口論の上、交通事故を起こす騒動にも発展した。20人以上の愛人が明らかとなり、複数のスポンサーが撤退する事態に。

 ☆10年1月 ゴシップ系サイトが、リハビリ施設でセックス依存症の治療を受けたとされるウッズの写真を掲載。

 ☆10年8月 エリンさんと離婚。慰謝料として7億5000万ドル(当時約640億円)を支払ったとの報道も。

 ☆13年3月 アルペンスキー女子金メダリストのリンゼイ・ボンとの交際を明かした。しかし、15年に破局。

 ☆14年4月 椎間板切除手術を行う。17年の「フュージョン手術」を含め4度も腰の手術を受けることに。

 ☆17年5月 フロリダ州で違法運転の容疑で逮捕された。ウッズは飲酒を否定し、処方された薬の副作用と釈明。警察が発表したうつろな目の写真が衝撃を与えた。

 ☆17年10月 米フロリダ州パームビーチの裁判所が有罪判決を言い渡した。250ドルの罰金と1年間の保護観察処分となり、更生に必要な社会奉仕活動に既に参加。

 ☆17年11月 非公式戦のヒーロー・ワールド・チャレンジで競技復帰。今年1月、ファーマーズ・インシュアランスで米ツアー復帰した。

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