大荒れ名古屋初日 56年ぶりに稀勢ら2横綱3大関が土

[ 2017年7月10日 05:30 ]

大相撲名古屋場所初日 ( 2017年7月9日    愛知県体育館 )

御嶽海(右)に寄り切りで敗れた稀勢の里
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 左上腕などに不安を抱える横綱・稀勢の里(31=田子ノ浦部屋)は、新関脇・御嶽海(24=出羽海部屋)にもろ差しを許し、なすすべなく寄り切られた。2場所連続の黒星発進で、不安を露呈した。新大関・高安(27=田子ノ浦部屋)も敗れるなど、上位陣は初日から苦戦。4横綱3大関が出場して2横綱3大関に土がついたのは、1961年九州場所6日目以来で、56年ぶりの大波乱となった。

 和製横綱も負の連鎖にのみ込まれた。これまで5戦全勝だった御嶽海に対し、何もできなかった。もろ差しを許すと上体が起き上がり、土俵際で粘れなかった。わずか6秒9での敗戦。支度部屋では報道陣の質問に「うーん」とうなっただけで、言葉を発することはなかった。

 春場所13日目に左上腕などを負傷し、強行出場を決めた夏場所は初日に小結・嘉風に敗れた。左を思うように使えず、11日目に途中休場を余儀なくされた。名古屋場所に向けては新大関・高安と合計95番取るなど、状態は上向いていた。この日の朝稽古後には「あとはやるだけ。いい調子で行けそう」と話していた。だが、本場所の相撲は稽古場とは違った。

 最も危惧されるのは、先場所同様に左からの攻めができていないということだ。この日は左差しを封じられると抱え込むしかなかった。負傷する前なら左からおっつけて出たが、得意とする攻めは鳴りを潜めた。八角理事長(元横綱・北勝海)も「小手先で差しにいっている。押し込んだら差せるが、小手先では駄目」と左の攻めが十分でないことを指摘した。本調子に程遠い稀勢の里の内容に「苦しくなるか」と聞かれると「今日の相撲を見る限り、そう思うね」と話した。

 3大関が総崩れし、稀勢の里、日馬富士と横綱2人も立て続けに敗れた。「4横綱は長く続かない」と言われるが、それを象徴するかのような初日となった。

 今場所と同じく4横綱3大関が出場して2横綱3大関が敗れたのは1961年九州場所6日目以来56年ぶりだが、その場所は最終的に横綱・大鵬が13勝2敗で4度目の優勝(3連覇)を飾っている。稀勢の里にとって2日目以降の取組が大事になってくるが、左からの攻めができなければ、夏場所同様に厳しい闘いになるのは必至だ。序盤で負けが込むようなら、休場という2文字もちらついてくる。稀勢の里がいきなり窮地に立たされた。

 ▼日馬富士(嘉風に背後に回られて負け)流れですから。(3大関、1横綱が敗れてからの相撲に)自分の相撲に集中していました。今日はこれくらいにしてください。

 ▼照ノ富士(貴景勝に押し出され)見ての通り。稽古もできていない。弱いから負けたんだよ。

 ▼豪栄道(栃ノ心に敗れ)頭をつけないといけない。(左)上手がもっと浅かったらつけられるけど、上手が深かった。こっちが失敗した。

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