マリー、怒りを力に変え錦織の流れ断ち切る「レッツゴー!カモン!!」

[ 2017年6月8日 07:39 ]

全仏オープン準々決勝、錦織からポイントを奪い吠えるマリー(AP)
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 怒りの導火線がアンディ・マリー(30=英国)のプレーに火をつけた。

 「イライラして、あの後の数ポイントは火がついた」

 冷静さを取り戻した顔でA・マリーは試合中の心境を正直に明かした。

 カッとなっていたのは目に見えて明らかだった。

 第2セット第3ゲームで自らのサービスゲーム、ジュースとなった大事な場面で、トスをミスしてやり直そうとした。この時に主審から2度目のタイムバイオレーション(遅延行為)の宣告。ペナルティーによって第1サーブが第2サーブになった。

 この日は風が強く、しかも日射しが目に入る難しい角度でもあったが考慮されなかった。

 「こんなの裁定見たことないぞ!」と主審に詰め寄ったが、「毎ポイント時間をオーバーしてるんだ。トスするまでに26、27秒かかっている」と取り合ってもらえなかった。

 怒りに震えながらプレーを再開。

 第2サーブをセンターに放ち、これを錦織がリターンミスした。

 「レッツゴー!カモン!!」

 腹にたまった感情を全て吐き出すようにA・マリーは大声で叫んだ。次のポイントではサーブからフォアの決定打を叩き込み、こん身のガッツポーズとともに再び「レッツゴー」と叫び、ピンチを切り抜けた。

 第1セットからの錦織の流れはここで途切れ、次のゲームをブレークしたA・マリーの側に傾いていった。

 試合開始から神経質なそぶりを見せていた世界No.1だが、怒りをきっかけに試合に雑念が吹き飛び、試合にのめり込んでいったように見えた。

「圭が第2サーブのリターンをミスし、その次は自分がいいサーブが打った。第2セット序盤はまだ圭にチャンスがあったけど、あのあたりから自分のプレーが徐々に良くなった。特に戦術を変えたりしたわけじゃないが、あそこは試合の重要な局面だった」と振り返った。

 「お互いにベストなプレーではなかったと思う。コンディションが難しく、普段よりミスが多く不安定だった。ラリーも長くはならなかったしね」と語ったA・マリー。「いいプレーをしている時は誰でも勝てる。でも、そうじゃない時に勝ち切ることの方が大事。今日は自分のベストが出せなかった。それでもビッグマッチでトップ選手に勝てた。それがが何よりうれしい」と世界1位のしぶとさと執念で4年連続の4強入りを決めた。

 4大大会4度目の優勝、そして初の全仏タイトルを目指し、9日の準決勝ではスタン・バブリンカ(32=スイス)と対戦する。

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