国枝 第2シード・ウデとの熱戦制した「本当に大きな1勝」

[ 2017年6月9日 00:53 ]

テニスの全仏オープン車いすの部 ( 2017年6月8日    パリ・ローランギャロス )

 まるで優勝したかのような喜び方だった。両手を広げて豪快に吠える。「ちょっと変な声出ちゃったな」。試合後に冷静に戻った国枝慎吾(33=ユニクロ)は照れくさそうにガッツポーズの場面を振り返った。

 8日に開幕した全仏オープンの車いすの部。男子シングルス1回戦で、国枝はライバルのステファン・ウデ(46=フランス)と対戦し、炎天下の中、6―4、4―6、6―3と2時間24分に及ぶ熱戦を制した。地元の声援が相手を後押ししたが「本当に大きな1勝。コートに戻れたことが幸せ。そういうのも含めて楽しめた」と汗をぬぐった。

 昨年4月に右肘を手術し、同11月に痛みが再発した。1月の全豪は欠場して休養にあて、テニスと体を磨き直した。肘への負担を考え、フォームをグリップから見直し、「より攻撃的なプレーを目指して」と変化を恐れなかった。4月末に実戦復帰し、今大会は主催者推薦での出場。現在のランキングは15位で、初戦でいきなり第2シードのウデとの激突した。

 第1セットから一進一退の攻防が続き、第3セットも先にブレークを許した。「久しぶりの3セットで少しつり始めた」と左腕のトリートメントを受ける場面もあった。だが、そこから逆転した。

 「勝つという気持ちは切らさず、あきらめない気持ちを持ち続けられた」

 長く世界1位に君臨し続けた国枝。その不屈の執念はブランクを経てもさびついていなかった。

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2017年6月8日のニュース