白鵬 誕生日3・11に32歳の決意「この日に生まれたのは宿命」

[ 2017年3月12日 05:40 ]

32歳の誕生日を迎えた横綱白鵬
Photo By 共同

 大相撲春場所は12日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。11日には会場で土俵祭りが行われ、横綱・白鵬(32=宮城野部屋)をはじめ三役以上の力士らが出席して15日間の安全を祈願した。この日、32回目の誕生日を迎えた大横綱は11年3月11日に起きた東日本大震災の被災地へ出席者と黙とうをささげ、被災地とともに戦う覚悟を見せた。

 ゆっくりまぶたを閉じた。場所中の安全を祈願する土俵祭り前、東日本大震災が発生した日とあって、尾車親方(元大関・琴風)が呼び掛けて黙とうが行われた。静まり返る場内。32歳になった白鵬の表情が引き締まった。「当時は3月10日に誕生日を変えようと思ったほどだけど、今となってはこの日に生まれたのも宿命と感じている」。言葉には被災地とともに戦う覚悟がにじんだ。

 ちょうど6年前。東京にいても「凄い怖い思いをした」。その3カ月後、岩手県山田町を慰問。「町がぐちゃぐちゃ」だった中で土俵入りした。余震続きだった町は翌日になり揺れが止まったという。同町の相撲場が被災したと聞くと、工費約1000万円を力士会で寄付。可能な限り支援を続けてきた。「要望があれば、これからもやっていきたい」。その気持ちは新横綱・稀勢の里も同じで「協力できることがあれば」と誓った。

 希望の光をともす大横綱だが、昨年夏場所以来、優勝から遠ざかる。37回賜杯を抱いた体に昨年初めてメスを入れ「無理するとどこか痛めるようになってきた」と肉体的な衰えを感じる。だが、自身が頑張る姿が勇気を届けることを知っている。現在、通算1019勝で、今年は魁皇の持つ歴代最多勝利数1047勝が目標。来年は残り6場所まで迫った北の湖に並ぶ横綱在位63場所を見据える。その先には東京五輪での土俵入りを夢見ている。

 新横綱・稀勢の里の誕生で一層注目が高まる春場所。角界をけん引してきた男は「肩の力は少し抜けるが、土俵に上がればそうはいかない」と気合を入れ直した。17年ぶりとなる4横綱時代の幕開けに「横綱が活躍すれば締まるし盛り上がる」ときっぱり。宿命を背負う男が5場所ぶり頂点を狙う。

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2017年3月12日のニュース