青学大逆転初V 3冠に王手 49秒差から最終区で早大かわした

[ 2016年11月7日 05:30 ]

全日本大学駅伝 ( 2016年11月6日    愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮の8区間106・8キロ )

全日本大学駅伝で初優勝した青学大のアンカー・一色恭志

 青学大が偉業に王手をかけた。最終8区(19・7キロ)でエース・一色恭志(4年)が、早大との49秒差を逆転し、5時間15分15秒で初優勝。10月の出雲全日本大学選抜を制しており、来年1月の箱根で3連覇と史上4校目の大学駅伝3冠を狙う。早大が5時間16分11秒で続き、山梨学院大が5時間16分50秒で3位。連覇を狙った東洋大は5時間19分49秒で6位に終わった。

 一色は考えることをやめた。早大とのタイム差も、自身のペース配分も頭にない。「“いける”とも思わなかったし、“勝てない”とも思わなかった。何秒差があっても追いつくのが自分の仕事なんで」。早大から49秒遅れてたすきを受けると、5キロ14分3秒の快ペースで猛追。6キロ手前で並ぶ間もなくかわすと、そのまま初優勝のゴールに飛び込んだ。

 「何が何でも勝つって去年の神野さんがゴールしてから決意していた。あの悔しさを味わうのは嫌だった」

 昨年は1区でタイム差なしの区間2位と好走。自分では役割を果たしたと思っていた。だが、アンカーの神野(現コニカミノルタ)が2位でフィニッシュした時に痛感した。「自分が1区で勝っていれば…」。レース後、特急電車の中で原監督に「来年(16年)は僕が(8区を)やります」とアンカー起用を直訴。15キロから脚がけいれん寸前になって区間賞は山梨学院大のニャイロに譲ったが、ゴール後は仲間の手で宙を3度舞った。

 原監督が掲げた今大会のテーマは「エビフライ大作戦」。穴のない布陣でどこを食べてもおいしいはずが、4区終了時点で早大に1分7秒差をつけられた。「ところどころ、カラッと揚がっていないところがあった。ハラハラドキドキ、ギリギリだった」。苦笑いで振り返った指揮官は、大ピンチを救ったエースを「大学駅伝の枠組みにとどまらない力がある。瀬古さん以来のスーパースター」と称えた。

 10月の出雲に続いて全日本も制し、来年1月の箱根駅伝では史上4校目の3冠が懸かる。原監督が「チャンスは大いにある。勝つべき時に勝ちたい」と言えば、一色は「箱根を楽勝で勝てるわけじゃないってことが証明された。この経験は次に生かせる」と苦戦を前向きにとらえる。高い総合力と最強エースの存在。死角のない青学大が、偉業へ突き進む。

 ◆一色 恭志(いっしき・ただし)1994年(平6)6月5日生まれ、京都府出身の22歳。宮城・仙台育英高から愛知・豊川高に転校し、全国高校駅伝の4区で区間賞。13年に青学大に進学し、箱根駅伝は1年時に1区6位。2年、3年と2区3位で往路優勝、総合優勝に貢献した。2月の東京マラソンでは2時間11分45秒。1メートル69、55キロ。

 ▼大学3大駅伝 10月の出雲全日本大学選抜、11月の全日本、1月の箱根の3大会を指す。同一年度の3冠は過去に90年度の大東大、00年度の順大、10年度の早大が達成している。大東大は89年度の全日本と箱根も制しており、大学駅伝で最多の5連勝。青学大は15年度の箱根から3連勝となった。

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