稀勢2敗目 松鳳山の予想外変化にバッタリ…2敗5人の大混戦に

[ 2016年7月20日 05:30 ]

松鳳山(右)に突き落としで敗れた稀勢の里

大相撲名古屋場所10日目

(7月19日 愛知県体育館)
 綱獲りの稀勢の里が痛恨の2敗目を喫した。平幕・松鳳山の立ち合いの変化についていけず、突き落としで敗れた。同じく1敗だった同部屋の小結・高安も横綱・日馬富士に敗れ、白鵬、日馬富士の両横綱、稀勢の里、高安、平幕・宝富士が2敗で並ぶ混戦となった。両横綱との対戦を残している稀勢の里は、初優勝が昇進条件となる横綱昇進に向け、一転、窮地に追い込まれた。

 あっけなく綱獲り大関が敗れた。過去10度の対戦で1度しか敗れていなかった松鳳山に対し、稀勢の里は立ち合いで思い切り当たっていった。だが、相手はすぐに自分の左へと動いた。目標を失うと自らの突進力は止められない。わずか1秒1。西土俵にばったりと両手をついた。土俵上では少しだけ首をかしげた。

 思い切りのよさがあだとなった。“立ち合いの変化は予想外か”と聞かれると「うん」とだけ答えた。今場所は5日目の栃煌山、6日目の妙義龍、8日目の琴勇輝とつかまえきれない相撲が続いただけに、組み止めたいという気持ちがあったはず。二所ノ関一門からは3代目・若乃花を最後に横綱は誕生しておらず、稀勢の里は期待を一身に背負っている。だが、皮肉にも一門の力士に痛い黒星を喫した。

 土俵下で審判長を務めた友綱審判部副部長(元大関・魁輝)は「仕切りがよくないと思っていた」という。「慌てている感じ。(5日目に)1番負けたことで、早く勝たないといけないと思ったかどうか。手つきがちゃんとしていたのが中途半端になっていた」と微妙な変化を指摘した。

 同部屋の高安も敗れたことで、優勝争いは2敗で5人が並ぶ展開となった。10日目で1敗が消えたのは07年九州場所以来、約9年ぶり。審判部は稀勢の里の横綱昇進に関して初優勝を条件としているが、2横綱に1差をつけた9日目から一転、苦しい状況に変わった。友綱副部長は「2敗でとどまってもらいたい」と期待する一方で「何回優勝しても(横綱に)なれない人もいる。1度(の優勝)でいいと言ってもなれない人もいる」と危惧した。

 2敗で並んだ両横綱とは対戦を残しているだけに、そこで1敗でもすれば優勝は遠のく。だが、横綱連破なら優勝は見えてくる。この日の朝稽古後「しっかり最後まで闘い抜かなければならない」と言い切った。自分を信じて残り5日間に全てを懸ける。

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2016年7月20日のニュース