男子バスケ日本代表 リオ五輪世界最終予選で「ベオグラードの奇跡」を

[ 2016年7月4日 11:25 ]

バスケットボール男子の五輪世界最終予選に出場する日本代表に選出された渡辺雄太

 リオデジャネイロ五輪に出場する日本代表選手団の壮行会が3日に都内で盛大に行われたが、まだ選手団に加わる可能性のある競技がある。バスケットボール男子だ。リオ切符を懸けた世界最終予選が4日に開幕する。

 非常に厳しい戦いだ。日本バスケットボール協会の前会長、川淵三郎エグゼクティブ・アドバイザーはことあるごとに「奇跡を起こせ」と選手たちを激励してきた。五輪切符獲得を「奇跡」と表現される選手たちは気の毒だが、そう言われても仕方がない状況にある。

 世界最終予選は3会場で行われ、各会場で6カ国が1枚の切符を懸けて戦う。日本が参加するのはセルビア・ベオグラード大会。同大会には世界ランキング6位のセルビアなどがおり、同48位の日本は最下位だ。また、08年北京五輪前から始まった世界最終予選で、アジア勢は過去8戦全敗で、勝ち抜くどころか1勝もできていない。世界から大きく遅れを取っているアジアで4位の日本が欧州を中心に強国ばかりが集う激戦を制し、五輪出場権を獲得することがどれだけ大変なことか。それを「奇跡」と呼ぶのはごく自然なことかもしれない。

 とはいえ、勝負は何が起こるかわからない、と信じたい。今回の日本代表は過去にない充実したメンバーがそろっているのだ。最も注目して欲しいのは主要国際大会に初めて出場する2メートル03のオールラウンダー渡辺雄太だ。現在、NCAA1部のジョージワシントン大で主力として活躍する21歳。長谷川健志監督も「2メートルを超えていながらボールハンドリングが良くて、走れて、シュート力がある。日本の弱点であるリバウンドでも重要な役割を担ってくれる」と評する日本史上最高の逸材だ。米国内でも将来のNBA候補の評価を受けている。

 インサイドには走れるビッグマン、2メートル6の竹内公輔、譲次兄弟がおり、シューター陣も比江島慎らがそろう。そしてチームをまとめるのが元NBA選手の田臥勇太主将。そこに渡辺が入ってチームとして機能した時、どんなプレーが生まれるのか、とても楽しみだ。「奇跡という言い方はしたくないけれど、勝つのが簡単なことではないのはわかっている。120%の力を出して、勝ちにこだわりたい」と話す渡辺の言葉も頼もしい。

 日本は6カ国を2つに分けた1次リーグ(3カ国中上位2カ国が決勝トーナメント進出)で、4日(日本時間5日午前1時)に世界ランキング35位のラトビアと、6日(日本時間午前4時)に42位のチェコと対戦する。まず1勝して、決勝トーナメントにつなげなければならない。そして、もし決勝トーナメントで準決勝、決勝で2連勝して五輪切符獲得となれば、76年モントリオール五輪以来40年ぶりとなる。

 9月にはNBLとbjリーグの2つが統合された新プロリーグ「Bリーグ」がスタートする。関係者は懸命なPR活動を繰り広げているが、まだまだ一般の知名度は低い。バスケ人気の起爆剤として「ベオグラードの奇跡」を起こしてほしい。(記者コラム・柳田 博)

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2016年7月4日のニュース