【金野潤の目】山部の執念が評価か 陣地に引き手に表れた気持ちの差

[ 2016年4月18日 05:30 ]

<皇后杯・女子柔道選手権>優勝し、記念撮影する山部

柔道全日本女子選手権・女子78キロ超級

(4月17日 横浜文化体育館)
 前回も触れたが、重量級の戦いで最初の鍵を握る「陣地取り」。開始と同時にどちらが前に出て、どちらが後退するか。前に出ている方は押し込みながらでも引き出しながらでも技を掛けられるが、押されている方の技の選択肢が狭まる。決勝では「勝つしかない」山部が前に出て、実績的にリードしていたはずの田知本が受けてしまった構図だった。

 その精神状況がさらに明確だったのが引き手の使い方だ。山部はケンカ四つの引き手を深く取り、間合いを詰めて、払い腰など威力のある技を仕掛けていく姿勢。田知本は釣り手、引き手ともに襟を取り、威力より技数優先で試合を有利に運ぼうとしていた。攻めの気持ちの差が、試合結果に表れたように感じる。

 海外選手との対戦成績は田知本の方が上だとみてきたが、国内2大会で見せた山部の執念が一定の評価を受けたのだろう。あとは最近、海外選手との試合で実績を残せなかった反省点を、残る4カ月でどうクリアしていくか。まずは、この日のような積極的な攻めの姿勢で五輪本番にも挑んでほしい。 (94、97年全日本選手権者、日大男子監督、文理学部准教授)

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2016年4月18日のニュース