【砂村光信の目】帝京大後半修正 岩出監督の選手把握力

[ 2016年1月11日 08:30 ]

「∨7」と刈り込んだ少年にサインする岩出監督

 帝京大の7連覇の歴史の中で、最も苦しい試合だっただろう。勝因の一つは岩出監督の選手把握能力の高さだと思う。あらためて敬意を表したい。

 負傷の坂手主将、不調だった副将・金田がリザーブ。直前のケガでゲームメーカーのFB森谷までメンバーから外れ、核を欠いた。序盤は東海大のラッシュにさらされ、チームは間違いなく浮足立っていた。ところがハーフタイムに監督は「勝利に固執し過ぎ」と指摘し、選手が見事にギアを入れ替えた。勝負を分けたのは、後半開始から7分までの帝京大の攻撃だった。

 勝利に固執、の最たる例がSO松田だろう。3年生司令塔は手堅いゲームメークを考えるあまりミスも多かった。これを試合中に指摘し変化を促せるのは、選手の特徴を把握しているからこそ。つまり、選手の型優先で、自分の型にはめない指導者だから、学生スポーツでの7連覇が達成できたのではないか。

 東海大はモールやスクラムという強みを生かし序盤は流れをつかんだが、その時間帯に得点を奪い切れなかったことが悔やまれる。序盤に得点を重ねていれば、もっと王者に焦りが生まれていたはず。前半をリードして折り返すことが、常勝・帝京大を止める必要条件だとみている。(元U―23日本代表監督)

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2016年1月11日のニュース