松岡修造氏 我慢し恐怖心に打ち勝った圭、100点の勝利

[ 2015年10月6日 08:20 ]

1回戦のチョリッチ戦終了後、ガッツポーズする錦織

テニス楽天ジャパン・オープン 錦織圭 2―6、6―1、6―2 ボルナ・チョリッチ

(10月5日 東京・有明テニスの森公園)
 僕はこういう試合の流れになると思っていた。全米オープンからの流れを考えれば100点をあげてもいい勝利だった。

 チョリッチは間違いなく世界のトップに入ってくる選手。しかも序盤は完璧に近かった。一方の圭は、クレーコートのデ杯はあったが、ハードコートは1カ月前の全米オープン以来だ。同じハードとはいえ、少し球足が速くなっていた今年の全米に比べ、有明はボールがコートに食い込む感覚がある。選手は全米の半分ぐらいのスピードに感じたかもしれない。

 ボールはどんどんけば立ち、重くなって、ショットが決まらない。圭は焦っていたし、それが顕著に出たのがサーブだ。ボールが重くなるときはサーブを打ち急いでしまうもの。タイミングが早く、芯に当たらないから確率は悪い。サーブで崩して簡単に取れるポイントもほとんどなかった。

 それでも圭はリターンやストロークで無理に取りにいかず、凄く我慢してプレーした。ここで18歳のチョリッチに負けていたら、周りの選手や今後戦う若手も、圭に対して怖さを感じなくなっていたはず。積み上げてきたものが全部なくなる恐怖心。それに打ち勝ったことも僕は評価したい。(スポーツキャスター)

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