首相、新国立見直し表明 費用縮減へ検討「国民の声に耳傾ける」

[ 2015年7月16日 19:10 ]

 安倍晋三首相は16日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画見直しを検討する考えを表明した。官邸で記者団に「国民の声に耳を傾けながら、東京五輪・パラリンピックが成功するよう万全の準備をしたい」と述べた。政府は2520億円に膨張した総工費の縮減に向け、デザイン変更も含めて具体案づくりを本格化させる。

 この日の衆院本会議で世論の反発が強い安全保障関連法案の採決に踏み切っており、コスト高へ批判が高まる新競技場問題も従来方針で推進すれば、政権へのダメージが避けられないと判断したとみられる。

 菅義偉官房長官は記者会見で「さまざまな意見に耳を傾けながら、国民負担が生じない工夫をできる限りしていかなければならない」と指摘。建設計画の経緯について「検証は当然必要だ」と語った。

 与野党では「キールアーチ」と呼ばれる2本の巨大な弓状の鉄筋構造物を特徴とするデザインへの批判が強い。工法の難しさが巨額の総工費につながっているからだ。政府関係者によると、現在のデザインが選ばれた12年の国際公募で次点だった作品を基に費用や工期を検討する案が浮上している。現行デザインを維持しながら工期延長による人件費削減も選択肢となっている。

 政府の計画変更で工期が延長された場合、五輪の運営手順を確認する場としても位置付けられる19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が新競技場で開催できない可能性がある。首相はW杯大会招致に関わり、東京五輪の大会組織委員会会長を務める森喜朗元首相と近く会談して調整を急ぐ考えだ。

 維新の党の松野頼久代表は会見で「誰の責任で、こんなに拡大された予算になったのかを検証すべきだ」と述べ、衆院での集中審議を求める意向を示した。

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2015年7月16日のニュース