大砂嵐 ラマダンにも左肩のケガにも負けず3連勝!

[ 2015年7月16日 05:30 ]

北太樹(右)を寄り切りで破り3勝目を挙げた大砂嵐

大相撲名古屋場所4日目

(7月15日 愛知県体育館)
 平幕の大砂嵐が北太樹を下して3連勝を飾った。左肩のケガで夏場所途中で休場。ぶっつけ本番の今場所はラマダン(断食月)期間と重なる中、故郷の誇りを胸に奮闘を続けている。新大関の照ノ富士は高安を下して無傷の4連勝。他に横綱の白鵬、鶴竜ら5人が全勝をキープした。

 エジプト人の誇りを胸に、大砂嵐が快進撃を続けている。北太樹を下して3連勝。立ち合いのもろ手突きから、すぐ左上手をつかんで組み止めた。力強く引きつけて寄り切り。「立ち合いがよかった。落ち着いて出た。いい感じ」と白い歯を見せた。

 夏場所7日目の稀勢の里戦で左肩の肩甲骨を骨折し、8日目から休場。その後は稽古で一度も相撲を取れず、ぶっつけ本番で今場所に臨んだ。左肩はテーピングでがっちり固めたまま。この日も勝負がついた後には左手を振って顔をしかめた。「限界。左(上手)を取って肩がビビッときた。痛いけど我慢しかない」と歯を食いしばる。

 苦境はケガだけではない。イスラム教徒で先月18日からラマダン(断食月)に入った。日中は飲食禁止。連日の猛暑で立っているだけでも汗が滴る中、水すら飲めない。夜明け前の食事から約12時間後に迎える取組は渇きと飢えに悩まされる。本人は「宗教と相撲は別。関係ない」と言い訳にしない。「“just do it!”中途半端はダメ。エジプト人はファラオ(古代エジプトの君主の称号)の孫。最後まで頑張る」。日本の武士道のようなもので、エジプト人は自らをファラオの子孫と考え、誇りを持つという。

 昨年名古屋場所は番付発表後の調整期間と本場所の計4週間すべてが断食期間に含まれた。それでも鶴竜、日馬富士から2日連続で金星を挙げる大暴れ。今年は4日目、もしくは5日目でラマダンが終了する見通しで、既に3勝を挙げ苦しいラマダン期間を勝ち越した。「やるしかない。(本場所に)出るなら思い切りやる」。負傷を抱えても覚悟を決めた“ファラオの孫”にはさらなる躍進を期待できそうだ。 

 ≪ラマダン≫ 期間の開始と終了は宗派の長老らが新月を確認して決まる。それぞれの国や宗派で暦が異なる場合があり、全世界共通ではない。

続きを表示

2015年7月16日のニュース