安藤氏 新国立コスト増の詳細「承知せず」完成「切に願う」

[ 2015年7月16日 11:15 ]

新国立競技場問題で記者会見する安藤忠雄氏

 政府がコスト削減のため見直すことになった2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアム、新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画に関し、デザイン採用を決めた審査委員会で委員長を務めた建築家・安藤忠雄氏(73)が16日、東京都内のホテルで記者会見した。建設費の高額化が問題になって以降、安藤氏が公の場に姿を現すのは初。安藤氏は会見に先立ち、文書を配布。総工費について「コストアップにつながった項目の詳細、基本設計以降のプロセスは承知していない」などと主張。「競技場完成を切に願う」とした。

 安藤氏は会見に先立ち「新国立競技場基本構想国際デザイン競技 審査とその後の経緯について」と題した文書を配布。デザインの審査経過を説明した後、工事費について「消費税増税と物価上昇にともなう工事費の上昇分は理解できますが、それ以外の大幅なコストアップにつながった項目の詳細について、また、基本設計以降の実施設計における設計プロセスについては承知しておりません。更なる説明が求められると思います」とし「最善の結果が導かれ、未来に受け継がれるべき新国立競技場が完成することを切に願っております」と心境をつづった。

 イラク出身の建築家ザハ・ハディド氏が手がけたデザインは、屋根を支える2本の巨大なアーチが巨費の要因とされる。当初1300億円と想定した総工費が、昨年5月の基本設計段階で1625億円と発表された段階では、設計過程での削減は「実現可能と認識した」と指摘。今月7日の最終的な計画で総工費は2520億円まで膨らみ、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)などに「さらなる説明が求められている」と訴えた。

 安藤氏はJSCが7日に開いた有識者会議は欠席。11日のテレビ番組で「なぜ(総工費が)こんなに増えているのか分からない」とファクスでコメントした。

 新国立競技場の計画は与野党や世論の批判を受け、政府がデザイン変更や工期延長の検討に入った。

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