稀勢 いける和製力士V!大関対決制し2敗死守

[ 2015年5月20日 05:30 ]

豪栄道(右)を寄り倒しで破った稀勢の里

大相撲夏場所10日目

(5月19日 両国国技館)
 稀勢の里が豪栄道との大関対決を寄り倒しで制し、勝ち越しを決めて2敗をキープした。1敗を守ってトップを走る横綱・白鵬と平幕の魁聖の2人を“1差”でマークしたまま勝負の終盤戦へ。数々の優勝争いを展開しながら、賜杯を逃してきた和製大関が今度こそ栄光をつかみ取るつもりだ。2敗は稀勢の里、照ノ富士、高安、隠岐の海、旭秀鵬の5人となった。
【10日目取組結果】

 稀勢の里が乗ってきた。同じ大関の豪栄道に立ち合いから押し込まれたものの、得意の左を差していたため「焦らずに」と動揺はなし。左のかいなを返しながら前に出て相手の捨て身の首投げにもひるまない。右手で豪栄道の顔面を押しながら体勢を整えると最後は体を預けて寄り倒した。勝ち越しを決めて白鵬らトップに1差の2敗を守ったが、あくまでも「通過点」。浮かれる様子はないのは、過去の優勝争いの経験から“残りの5日間”がいかに難しいかを熟知しているからだ。

 夏場所は過去3年連続で千秋楽まで優勝争いに絡んだ験のいい場所。一方で、賜杯を抱けるチャンスを逃した悔しさも残る。3年前は後続に2差をつけてトップを走ったが、終盤崩れて旭天鵬に優勝をさらわれた。2年前は白鵬との14日目全勝決戦で敗退。昨年も12日目の白鵬との1敗対決に負けて優勝を逃した。「一日一日やるだけ」。立ち合い変化や奇をてらった相撲を嫌う愚直な男は気合を込めすぎない。

 優勝34度の偉業を持つ白鵬とは対照的な考え方を持つ。白鵬は「60~70%で初日を迎えれば、いいものが出る」と初日2週間前から本格調整を始める。一方の稀勢の里。ピークを終盤に持っていく手法は「考えたことはない」と言う。「そういう性格だから」と場所間の稽古を重要視し、4月の巡業でも連日のように稽古で相撲を取った。過去の反省から決してスタミナ切れをしないように日々鍛錬。15日間を通して全力を出せるように調整してきた。

 今年九州場所までに誰かが賜杯を抱かなければ、06年初場所の栃東から丸10年も和製力士の覇者がいなくなる。「先場所よりはいい」。控えめに手応えを口にした稀勢の里が今年も期待を背負う。

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2015年5月20日のニュース