勝みなみ JK革命(3)プロ見送ってまでこだわった栄冠

[ 2014年12月25日 10:30 ]

プロ申請を見送ってまでこだわった日本ジュニアのタイトルを大逆転で獲得した勝

 11月下旬、勝は最終戦ツアー選手権リコー杯に備え宮崎にいた。開催コース宮崎CCで練習ラウンドを終えると、クラブハウス外のイスに腰を下ろした。そして胸に秘めてきた考えを明かした。

 「来年、もう1勝したらプロ転向を考えようと思う。お母さんとおじいちゃんに相談しないといけないけど。バンテリンの時にプロ転向しなかったことは後悔してません。でも、もったいないなと思って。プロになれば全試合に出場できるから。そうすればもっと経験が積める」。4月のKKT杯バンテリン・レディースで優勝後4週間以内に申請すればツアープロとして単年登録が可能だった。同じくアマでツアー優勝した宮里藍は単年登録しプロ転向した。しかし勝は申請を見送った。手にしていないアマの日本タイトルを獲りたいという思いからだった。

 だからこそ8月20~22日の日本ジュニア選手権(埼玉・霞ケ関CC)は大きな意味を持つ大会だった。中学1年時の11年に初出場し3位。その後も4位、5位。今年は「日本ジュニアを獲ることは日本で一番強いジュニアになること」と優勝だけを目指して臨んだ。

 しかしツアーでの疲れも影響しスタンスに乱れが生じ1Wが不振に。初日はフェアウエーキープが3ホールという惨状。首位に6打差の2位で最終日を迎え、一時は7打差をつけられた。それでも「絶対に諦めなかった」。プロ転向の選択肢を捨ててまでこだわったタイトルだったからだ。後半だけで4バーディーを奪い67でフィニッシュ。大逆転で悲願の日本タイトルを獲得した。

 ハードルはクリアした。ただプロへ心が傾いたのにはもう一つの理由がある。9月3~6日に長野・軽井沢72で行われた世界アマチュアチーム選手権。団体戦は15打差の8位、個人戦も22位。勝はショックを受けた。

 「海外の選手とは体の大きさも違うし、ショートゲームにも差を感じた」。平均飛距離250ヤードでツアーでも飛ぶ部類に入るが、何度もアウトドライブされた。アプローチで技術の差を見せつけられた。その屈辱が危機感になった。アマとプロではコースの距離もセッティングも違う。強くなるには厳しい戦いに身を置くことが重要と考えるようになったのだ。

 来季は3月のTポイント・レディース、前回女王で迎えるKKT杯バンテリン・レディースへの出場が既に決まっている。「来年は今年以上の結果を出せるようにしたい。2勝目を目指して頑張る」。その口調には強い決意が感じられた。=終わり=

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2014年12月25日のニュース