大野 W杯イングランド大会あと1年 強豪南ア戦は「やりやすい」

[ 2014年9月18日 05:30 ]

あと1年に迫ったW杯イングランド大会へ向けての抱負を語る大野

 24年ぶりのW杯勝利は実現するのか。15年のラグビーW杯イングランド大会開幕まで、18日であと1年となった。過去7大会で1勝2分け21敗の日本代表だが、現在の世界ランキングは過去最高の10位でテストマッチは10連勝中。オーストラリア人のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、54)が率いるチームは大きな期待を背負っている。日本歴代最多の85キャップを誇り、3大会連続のW杯出場が確実視されるロックの大野均(36=東芝)に、手応えや自身の今後を聞いた。

 ――W杯開幕まで1年。現在の心境は?

 「まだ1年あるな、という感じです。まだやるべきことがたくさんありますし、今のままでは(目標の)決勝トーナメント進出は難しい。1年でどれだけチームとして伸びしろを見せられるか」

 ――W杯では2度の引き分けを経験(※1)。勝てなかった理由は?

 「前回大会は残り約10分で8点リードがあった。その時に“勝ったな”という気持ちになった部分はあったと思う。優勝したニュージーランドの主将マコウがフランスとの決勝で、このタッチキックを蹴り出せば優勝が決まるという瞬間にキッカーに寄って、何か話をした。“しっかり出せよ”というようなことを言ったと思うのです。試合終了のホイッスルが鳴るまで、勝ちを確信してはいけないというのを学ばせてもらいました」

 ――この2年でシックスネーションズ(※2)から2勝。なぜエディージャパンは勝てるのか?

 「練習が全部、試合に近い形式で行われる。一つのスキルに特化するのではなく、15対15とか試合を想定した練習が凄く長くて、試合よりもハイテンポで強度も強い。だから試合が楽に感じる」

 ――来年のW杯は初戦の相手が世界ランク2位の南アフリカ。

 「やりやすいですよ。いきなりトップが来るわけですから、そこに通用する準備をすれば、どの相手にも通用しますから」

 ――自身は37歳で3度目のW杯を迎える。

 「12年にエディーさんに代表に呼んでもらった時、“大野は呼んだけど、たぶん15年のW杯の時にはいないでしょう”と話したと報じられた。それで一回一回の合宿だったり、一年一年が勝負だという気持ちで3年間過ごし、出場が手に届く位置に来られた。15年に必要な選手だと言わせた、自分の勝ちかなと思います」

 ――W杯後に代表から退くつもりなのか?サッカー界には代表引退という言葉がある。

 「代表引退と言えるほどの実力がないですし、絶対に外で見ているより中でやっている方が楽しいはずですよね。やれるうちは代表でやりたいです」

 ――スーパーラグビー(SR=※3)に日本が参戦する可能性がある。

 「ぜひメンバーに入りたいですね。SRで日本人がプレーできる日が来るなんて思っていなかったので、(堀江)翔太やフミ(田中史朗)が出た時は、一ファンとして感動しました。どこまで通用するか分からないですけど、この年齢でもどんどん上のステップに進んでいきたいと思います」

 ――酒豪として有名。

 「まあリラックスという意味で(笑い)。よく1年間ずっとラグビーをして休む暇がないのではと言われますが、一日の中で練習とお酒飲む時間でメリハリを付けている。だから、この年までプレーできているのかな。試合前日は飲まないですけど」

 ◆大野 均(おおの・ひとし)1978年(昭53)5月6日、福島県郡山市生まれの36歳。清陵情報高までは野球部に所属。日大工学部でラグビーを始め、大学4年時に福島県選抜入り。01年4月に東芝府中(現東芝)入りし、3年目からレギュラーに定着した。04年5月16日の韓国戦で日本代表初キャップを記録し、通算85キャップは日本歴代1位。W杯は07、11年の2度出場。1メートル92、106キロ。ポジションはロック。愛称は「きんちゃん」。

 ※1 07年にカナダと12―12、11年もカナダと23―23で引き分け。07年は試合終了間際に7点差を追い付いたが、11年は8点のリードを残り5分で追い付かれた。大野は07年は先発、11年は後半24分から途中出場。

 ※2 「ホームユニオン」と呼ばれるイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドに、フランスとイタリアを加えた欧州6強。日本は昨年6月にウェールズ、今年6月にイタリアに勝利し、世界のラグビー界で話題となった。

 ※3 ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの南半球3カ国による世界最高峰のリーグ。16年に現在の15チームから18チームに拡張するのに伴い、日本は新規参入に立候補。代表強化が狙いでチーム編成は代表選手を中心にする考え。今年10月に日本かシンガポールからの参入が決まる。

続きを表示

この記事のフォト

2014年9月18日のニュース