稀勢の里 断酒で綱獲り、前回失敗を教訓 自然体で挑む

[ 2013年11月26日 05:30 ]

悲願の綱獲りへ禁酒宣言をした稀勢の里

 大相撲の九州場所で13勝を挙げ、来年初場所(1月12日初日、両国国技館)で綱獲りに挑むことになった大関・稀勢の里(27=鳴戸部屋)が千秋楽から一夜明けた25日、宿舎を構える福岡県東区の香椎宮で取材に応じた。激闘の15日間とはうって変わってリラックスした表情。勝負の場所に向けて“断酒”する方針であることを明かした。

 来場所綱獲りに挑むことが決まった千秋楽から一夜明けた午後。両横綱を倒して13勝を挙げるなど激闘を繰り広げた稀勢の里の表情には意外にも疲労の色は全くなかった。「疲れてないです。(場所後の休みは)何をすればいいのか…。どこにも行かないと思う」。12月1日から始まる冬巡業までは場所後休みとなり、関取衆はゴルフや温泉旅行など思い思いの過ごし方をするが、横綱を狙う大関にとって今は相撲が一番。来場所に向けて宿舎でゆっくり英気を養う予定だ。

 来年が勝負の年であることを誰よりも感じている。最近は「昔とは違ってもう年ですから」と大好きな酒は控えめにしてきたが、ついにこの日「酒はやめました」と宣言した。ちゃめっ気たっぷりの口調だったが、酒におぼれている場合ではないことを熟知しているからこその発言だ。

 一年納めの九州場所千秋楽の夜は緊迫した戦いから解放されて中洲の繁華街で豪快に飲み明かす力士もいる中、稀勢の里は「ほとんど飲んでない」と口をつけた程度だったことを明かした。事実、優勝の美酒がまだ体に残った“ほろ酔い”状態で午前の一夜明け会見に臨んだ日馬富士とは対照的に準優勝の大関は完全なるしらふだった。

 北の湖理事長(元横綱)や横審は綱獲り成功の条件として「13勝以上の優勝」と見解を示すが、03年初場所で引退した貴乃花以来となる日本出身横綱への期待を背負う27歳は「意識しても仕方ない。普通にやるだけ」と冷静。初めての綱獲りが懸かった7月の名古屋場所は「正直、意識しすぎてて痛くないところも痛くなった」と苦笑いするが、苦い経験を無駄にはしない。2度目の挑戦は、自然体で持てる力を発揮する。

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2013年11月26日のニュース