日本 ウェールズ撃破!!歴史的金星 エディー監督「誇りに思う」

[ 2013年6月16日 06:00 ]

ウェールズを撃破し、伊藤(手前5)と抱き合って喜ぶ菊谷

リポビタンDチャレンジ第2戦 日本23―8ウェールズ

(6月15日 東京・秩父宮ラグビー場)
 ジャパンが歴史的金星を挙げた。ラグビーの日本代表―ウェールズ代表の第2戦が15日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、日本が23―8で完勝した。ホームユニオンと呼ばれる世界の主要8カ国に勝ったのは、89年のスコットランド代表以来2度目で、テストマッチでは初めて。エディー・ジョーンズ監督(53)の下、「ジャパン・ウエー」が世界に大きく近づいた。

 客席の心地よいカウントダウンが終わると、試合時間終了を告げるホーンが鈍く響き、続いてノーサイドを意味するホイッスルが鳴った。両腕を突き上げる。抱き合う。泣く。23―8。世界ランク5位、11年W杯4位と掛け値なしの強敵に、世界15位のジャパンが完勝した喜びは格別だった。

 SH田中は、泣いた。「純粋にうれしい。ウェールズは2軍だけど、代表ですから」。英国選抜のブリティッシュ・ライオンズの遠征で主力15人が抜けていても、ウェールズ協会がテストマッチに認定。「応援に対して結果を残せて良かった」。2万1062人の大観衆への感謝には、負け続けた日本代表の歴史と悔しさがこもっていた。

 87年にW杯が始まって以来、ジャパンの歴史は敗北の歴史だった。ホームユニオンとは、サッカーの国際Aマッチにあたる「テストマッチ」すら組めなかった。だが、このチームは違った。8日の第1戦で18―22と惜敗すると、本気で悔しがった。第2戦開始直後、相手の遅延行為が発端で小競り合いが起きた。本気で勝ちにいっていた。前半は6―3。後半4分のトライで逆転を許すが、ここからが違った。疲れが見える相手と対照的に裏に抜けるプレーが増え8分のトライで再逆転。19分には田中の2人飛ばしのパスが通ってダメ押しのトライを挙げた。

 日本人の血が流れるジョーンズ監督の就任でジャパンが変わった。日本で指導者の道をスタートさせ、オーストラリア代表監督まで上り詰めた指揮官はジャパン・ウエーのスローガンのもと「日本人が世界で勝てるラグビー」を掲げて昨年4月に就任した。体格差を埋める体力。世界一速い攻撃。合宿は朝5時半からの筋トレが日課で試合中の苦しい時間も「練習に比べたらきつくない」と声が掛かる。ロック大野は「最後までジャパン・ウエーを貫いたのが勝因」と言う。当たり勝ち、走り勝ったのは、体格で劣る日本代表だった。

 「誇りに思う。歴史をつくり上げた」。ジョーンズ監督はそう喜んだあと「まだ強さ、速さが足りない」と話した。目指すは世界トップ10。「あす(16日)も練習する。勝ったから筋トレはなしだけどね」。名指揮官のユーモアは、もっと強くなれるとのメッセージだった。

 ▼ラグビー代表の条件 本来、代表は所属する協会単位で選出するため、国籍は基本的に関係ない。国際ラグビーボード(IRB)のルールによれば、代表入りの条件は(1)当該国で出生(2)両親、祖父母のうち1人が当該国で出生(3)プレーする時点で直前の36カ月以上継続して当該国を居住地としていた、の3条件のうちどれかを満たすこととなっている。なお、ある国の15人制、7人制のシニアやその下のカテゴリーの代表入りした経歴がある選手はその他の国の代表にはなれない。 

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