43歳吉田 復帰戦で準優勝「柔道界にいいニュース」

[ 2013年6月16日 06:00 ]

男子3部に選手として出場したバルセロナ五輪金メダリストの吉田秀彦・パーク24監督

柔道全日本実業団体対抗大会第1日

(6月15日 岡山県体育館)
 バルセロナ五輪金メダリストの吉田秀彦(43)が男子3部のパーク24の選手として出場し、6戦5勝1分けの成績でチームを準優勝に導いた。吉田が柔道の試合に出場するのは、02年4月の全日本選手権以来、11年ぶり。優秀選手にも輝き、柔道界に久々の明るい話題を届けた。また、女子1部は世界選手権(8月27日開幕、リオデジャネイロ)63キロ級代表の阿部香菜(25)擁する三井住友海上が7年ぶり5度目の優勝を果たした。

 表彰式で優秀選手として名前が呼ばれると、とぼけた笑顔を浮かべた。「こんなおっさんがもらっていいの?って感じ」。だが、言葉とは裏腹に結果は表彰に値した。決勝までの6試合全てに出場し5勝1分け。「こうやって僕が出場して、報じてもらえることが柔道界にとっていいニュース」。大きな責任を果たした充実感が漂った。

 プロ活動停止から3年というルール解禁を待って、11年ぶりに上がった畳。「気持ちだけが前に出て体がついていかなかった」と言いながら、2回戦、準々決勝は伝家の宝刀・内股がさく裂した。「良いときの20~30%くらい」。4度の一本勝ちだけでなく、旭化成との決勝では73キロ級の全日本強化指定選手・斎藤を組み手で翻弄(ほんろう)し、指導2を奪って下す勝負強さも往年の姿をほうふつさせた。

 不祥事続きの柔道界は依然として混乱している。だからこそ本当の柔道を見せたかった。「期待されれば、また」とさらなる試合出場の可能性を示唆した43歳。「本当は僕が出なくても盛り上がる選手をつくりたい」と本音を吐露し「全身筋肉痛だろうから、あす、起きるのが怖い」と笑った。その姿が頼もしかった。

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