妙義龍 愛のムチから1週間…会心の相撲で感謝の金星

[ 2013年5月14日 06:00 ]

<大相撲夏場所2日目>日馬富士(左)を押し出しで破る妙義龍(右)

大相撲夏場所2日目

(5月13日 両国国技館)
 平幕の妙義龍が結びで横綱・日馬富士を押し出しで撃破し、通算2個目の金星を獲得した。場所前の出稽古で横綱に厳しい言葉を浴びせられたが、本番では相手のお株を奪う速攻で恩返し。3日目の白鵬戦に弾みをつけた。横綱・白鵬は安美錦を問題にせず連勝発進。4大関も2日連続で安泰だった。
【2日目取組結果】

 無数の座布団が舞う館内を、妙義龍は胸の前を突き出すように引き揚げた。待ち構える付け人と拳を交えたが、支度部屋では冷静に応対。「土俵に上がれば横綱に勝てることもある。人間同士だから」と話した。

 結びで対峙(たいじ)した日馬富士とは場所前の因縁があった。7日の鳴戸部屋。同じく出稽古に来ていた横綱に指名されたが、無残にも7連敗を喫した。全く歯が立たず、押し倒されたときには「ケガするぞ!お前、力出さんかい!」と激しい言葉を浴びせられた。

 愛のムチだったことは心得ている。だからこそ、1週間後の本番で成長した姿を見せたかった。立ち合いで左に動き、まわしを取らせないまま突き放した。激しい突き押しにたまらず横綱が引いた。ここが勝機と鋭く踏み込み、前のめりになりながらも土俵の外に押しやった。「立ち合いは中途半端だったけど、前に出られた。場所前と本場所の土俵は違うので」。会心の相撲を振り返る声はみるみるうちに大きくなった。

 十両時代に左膝十字じん帯損傷の重傷で手術に踏み切った。十両復帰までに7場所を要したが、その苦労は無駄にはしなかった。テープの巻き方には人一倍神経を使い、常に同じ形状を維持する。それが膝の負担を和らげるベストの方法だといい、テープ代は1日に約3000円。支度部屋で1時間かけて巻く姿を見た豊ノ島も思わず、感心するほどだ。

 白鵬と日馬富士から金星を獲得したのは豊ノ島に次いで2人目。「(金星は)別にいい」と無関心を装うが、場所手当の力士報奨金(年6回支給)は金星獲得で4万円のベースアップに成功した。テーピング代は場所15日間で約4万5000円。きょう3日目の白鵬戦に勝てば報奨金の増額は8万円となり、必要経費を浮かすことができる。「苦しい場面でどうものにできるか。あしたも前に出られたらいい」。大物キラーの本領発揮へ。序盤戦最大の一番が、がぜん面白くなってきた。

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2013年5月14日のニュース