隠岐の海 お好み焼き&ラーメン効果だ!2敗キープ

[ 2013年3月20日 06:00 ]

勝ち名乗りを受ける隠岐の海

大相撲春場所10日目

(3月19日 ボディメーカーコロシアム)
 侍ジャパンは敗退しても、角界の“イケメン侍”は勝ち続ける!島根・隠岐の島町出身の幕内・隠岐の海が阿覧を寄り切って10日目にして早くも勝ち越しを決め、2敗をキープ。大関・琴奨菊が豊ノ島に屈して3敗に後退したため、優勝争いは期待の27歳が唯一の2敗力士として全勝・白鵬を追い掛ける展開となった。
【取組結果】

 その瞬間だけを狙っていた。阿覧と右四つに組んだ体勢でまわしに手がかかっていたのは右の下手だけ。しかし、左腕が相手のまわしにかかると隠岐の海は迷わなかった。一気に引きつけて相手を土俵の外に運んで平幕一番乗りで勝ち越し。花道からNHKの生インタビューに直行し、歌舞伎役者のような端麗な顔つきで「まだまだこれから頑張ります」と言い切った。

 正攻法の四つ相撲と恵まれた体格を生かして昨年までは平幕上位に番付を維持。三役経験はないが、11年名古屋で大関獲りの琴奨菊の夢を打ち砕く勝利を挙げ、昨年の九州場所でも日馬富士から金星を挙げるなど、ここ一番での勝負強さを発揮した。しかし、その場所で右足を負傷し、「第3趾(し)基節骨骨折」で途中休場。先場所はぶっつけ本番で臨んだこともあって8勝に終わり「内容が内容で勝ち越しても悔しかった」と奮起した。大阪入り後はちゃんこに加え、お好み焼きやラーメンで体重を5キロ以上増量させ、現在は160キロ。北の湖理事長(元横綱)も「まわしを取ったら強い」と実力を認めた。
 江戸時代から続く古典相撲で有名な島根県の隠岐出身。一時は航海士を目指したが、力士の夢を諦めきれず高校を中退して05年に初土俵。3年前に島根県出身力士として88年ぶりの新入幕を果たし、今年1月から公開中の古典相撲を題材とした映画「渾身 KON―SHIN」に力士役で出演した。5月28日には出雲大社「平成の大遷宮」奉祝事業に島根代表として参加することが決定。拝殿前で行われる日馬富士の横綱入りの露払いを務める予定だ。

 優勝争いには「それよりも2桁勝ちたい」と控えめだが、荒れる春場所を面白くするためには、この男が大暴れするしかない。島の英雄から日本の英雄へ――。奇跡を起こせば人気爆発は間違いない。

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