全柔連が「問題を矮小化」 JOC理事会で最終報告書

[ 2013年3月20日 06:00 ]

JOCの理事会後、記者の質問に厳しい表情を見せる全柔連の上村春樹会長
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 日本オリンピック委員会(JOC)は19日、都内で理事会を開き、加盟団体審査委員会で下した全日本柔道連盟(全柔連)への約2600万円の13年度の選手強化交付金の中止と、改善勧告を承認した。処分は、15選手による暴力・パワハラの告発を受けて組織された緊急調査対策プロジェクトの最終報告書によるもの。改善勧告に基づき、全柔連には3カ月に一度の報告も義務づけた。

 この日発表された最終報告書で明らかになったのは、やはり全柔連の初期対応のまずさだった。調査にあたった山内貴博弁護士は、昨年12月4日に最初に提出された告発文が、特定の選手に対する暴力行為ではなく、全体的なハラスメントについてのものであったことを明言。ところが、この告発文を受けて全柔連が調査したのは、園田前監督と1人の選手のことだけという事実に、同弁護士は「問題を矮小(わいしょう)化したのでは」と指摘した。

 全柔連内で初期からこの問題に対応してきたのは、現場の強化サイドではなく、上村春樹会長の指示を受けた小野沢弘史専務理事、村上清事務局長ら執行部。告発文の内容を把握した上での調査が結果的に事態を悪化させており、問題意識の低さを指摘されても仕方がない。18日の全柔連理事会で人事は刷新されなかったが、今後の立て直しに対する“不安”は拭えない状況だ。

 <JOC報告書骨子>

 ▽不当行為

 一、感情に任せ一部選手の顔を強く平手打ち

 一、棒などを振り回し、時にたたいて威嚇

 一、「ブス」「ブタ」「死ね」「家畜と一緒」など選手に侮蔑的発言

 ▽改善勧告

 一、対話による信頼関係の醸成

 一、コーチ資格制度の確立や講習制度の導入

 一、相談窓口の設置

 一、指導者、執行部などへの女性登用

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2013年3月20日のニュース