沙羅1日2勝!男女通じ日本初の年間王者に王手

[ 2013年2月11日 06:00 ]

個人第11戦に続いて行われた第12戦でも優勝し、テレビカメラに向かってガッツポーズする高梨沙羅

ノルディックスキー W杯ジャンプ女子個人蔵王大会最終日

(2月10日 山形市蔵王=HS100メートル、K点90メートル)
 高梨沙羅(16=グレースマウンテン・インターナショナル)が1日2勝の快進撃で、今季5勝目と6勝目を立て続けに挙げた。前日の悪天候で振り替えとなった個人第11戦に圧勝し、続く第12戦にも完勝。総合ランクでは2位との差を230点に広げ、16日にスロベニアで行われる次戦で、日本人初となるジャンプW杯総合優勝が決まる可能性が出てきた。全日本スキー連盟は20日から行われるノルディックスキーの世界選手権女子代表に高梨ら5選手を選出した。

 「応援に来てくださった方々のおかげです」。集まった観衆約3500人の拍手を浴び、高梨の優勝インタビューが終了。するとインタビュアーは高らかに宣言した。「では、続いて第12戦に優勝した高梨沙羅さんです!」。1日2試合それを午前中だけでこなす変則日程ならではのユニークな連続優勝インタビューとなった。

 「自分でも満足いくジャンプが飛べたので、きょうはとても楽しい一日でした」。この日飛んだ4本全てが最長記録と他の追随を許さなかった。時間短縮のために試技がなく、不安があったという1本目から95・5メートルを飛んでガッツポーズ。2本目も軽々とK点を越えて優勝を決めると、君が代を聴いた表彰式の15分後にはもう次の試合が始まった。

 「ごはんを食べる時間もなく急いで着替えました」。慌ただしい流れの中でも安定したジャンプは乱れなかった。第2試合の1本目は、ヒルサイズを越える102メートルの大ジャンプ。「あそこまで飛ぶことが凄く幸せ」と大歓声に再び両手を上げて応えた。

 前週の札幌大会は地元で勝ちたい気持ちが空回りし、12位、5位と惨敗。しかし、翌日の練習で開き気味だった膝の位置などを修正。「札幌から気持ちを切り替えたわけじゃない。直すべきところを直しただけ」と自分のジャンプに集中することで日本開催の重圧を乗り越えた。

 昨年W杯初優勝を飾った思い出の蔵王で、再び記録に残る“1日2勝”。午前8時半に第1試合がスタートし第2試合の表彰式が終わったのは午前11時50分だった。わずか3時間半のうちに今季勝利数を「4」から「6」に。シーズン5勝の船木和喜、原田雅彦、上村愛子(モーグル)を抜き、葛西紀明や荻原健司(複合)と肩を並べた。

 それでも高梨は「へえー、としか言いようがない。知らなかった」と屈託のない笑顔を浮かべるだけ。次戦で2位以上になれば、他の選手の成績次第では最終戦を待たずに総合優勝が決まる。まだ16歳の高梨にとって今季6勝目は通過点。そして総合優勝も来年のソチ五輪、さらなる未来への通過点にすぎない。

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2013年2月11日のニュース