真央もエッ!?ジャンプミス4度も表現力で薄氷V

[ 2012年11月25日 06:00 ]

ガックリと肩を落とし引き揚げる浅田真央

GPシリーズ第6戦NHK杯第2日

(11月24日 宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ)
 本人もビックリの戴冠だ。女子フリーで、SP首位の浅田真央(22=中京大)がジャンプでミスを連発しながら、2位の117・32点をマーク。合計を185・27点とし、4年ぶり3度目の優勝を飾った。日本人最多となるGPシリーズ10勝に到達し、14年五輪開催地のロシア・ソチで行われるGPファイナル(12月6日開幕)進出も決めた。フリー1位の鈴木明子(27=邦和スポーツランド)も合計185・22点で2位に入り、ファイナル出場権を獲得した。

 誰よりも本人が一番、驚いていた。フリー「白鳥の湖」でミスを連発した浅田は、得点を待つキス&クライでは観客に謝罪するしぐさも見せた。スコアが表示されると、状況をのみ込めずに口を開けた。ほぼノーミスの演技を見せた鈴木を合計で0・05点上回り、中国杯に続く優勝。ファイナル切符も手に入れたが、「得点も順位も考えてなくて、優勝って出た時はポカーンとしてしまいました。やってきたことが出せなくて、すごく悔しい」とさえない表情を浮かべた。5345人の観衆からも、珍しくどよめきが起きるほどだった。

 冒頭の3回転ループがいきなり2回転に。苦手の3回転ルッツも2回転になると、3回転サルコーは1回転。失敗の原因はメンタル面だ。「冷静だったけど、前へ前へという気持ちが少なくて足に力が入っていなかった。気持ち、タイミング、リズムが合わなかった」。技術点で鈴木に11・73点もの差をつけられた。その分を表現力でカバー。「評価されたのはうれしいけど、ジャンプと一緒にならないと意味がない」。要素のつなぎの項目では9・00点を付けるジャッジもいれば、6・75点を付けるジャッジもいるなど点数がバラついただけに素直に喜べなかった。

 カナダ・ケベックで開催された昨季のGPファイナルは、母・匡子(きょうこ)さん(昨年12月9日に死去、享年48)の容体が悪化し、緊急帰国して出場を断念した。今季は14年五輪開催地のロシア・ソチで行われる。「五輪の代表には決まっていないけど、開催場所にいけるのは、いいモチベーションになる」。今夏のロンドン五輪はテレビ観戦し陸上男子100メートルのボルトの激走、シンクロナイズドスイミングのロシアの美しさに心を打たれた。五輪への思いは、ソチ五輪の本番会場・アイスバーグでさらに熱くなるに違いない。

 これまでシーズン序盤は苦しむことが多かったが、5季ぶりのGP連勝。ソチ五輪への道のりを登山に例え、自身の現在地を「5合目くらいですかね」と表現した。「昨季までは納得いく演技ができなかったけど、やっとまずまずのスタートを切れた。復活の兆しが見えた」。ファイナルではシニア初年度の05年、敵地・韓国でキム・ヨナを撃破した08年に続く、3度目の優勝を目指す。「何カ所かちょこちょこやってしまった。ファイナルでは(ミスが)ないようにしたい」。この日演じた白鳥は精彩を欠いたが、ソチでは頂点へ羽ばたくはずだ。

 ▼GPシリーズ勝利数 GPシリーズとして行われるようになった98~99年以降、女子の主な選手では世界選手権2度制覇のスルツカヤ(ロシア)が12勝をマーク。10年バンクーバー五輪を制したキム・ヨナ(韓国)は10勝、同五輪銀メダルのロシェット(カナダ)、昨季の世界選手権金メダルのコストナー(イタリア)、安藤美姫(トヨタ自動車)が5勝を挙げている。

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