錦織圭、男子ツアー日本人初2勝!“師匠”修造超えた

[ 2012年10月8日 06:00 ]

テープが舞う中、優勝カップを掲げる錦織圭

男子テニス 楽天ジャパン・オープン最終日

(10月7日 東京・有明コロシアム)
 シングルス決勝で、世界ランキング17位の錦織圭(22=日清食品)が同15位のミロシュ・ラオニッチ(21=カナダ)を7―6、3―6、6―0で破り、ツアー公式戦となった73年以降、日本勢初の優勝を飾った。ツアー優勝は08年デルレービーチ国際選手権以来4年ぶりで、通算2勝は日本人初の快挙。日本男子テニスの歴史を次々と塗り替えてきた世界のエアケイがホームでその実力を見せつけた。

 勝負を決めた最後のプレーがこの試合を象徴していた。最終セットの4度目のマッチポイント。ラオニッチの208キロの高速サーブに、錦織は懸命に右腕を伸ばした。片手のバックハンドで何とか返したボールを、相手は強打してネットにかけるミス。錦織の粘り強いプレーが、ラオニッチの心をへし折った。

 73年からツアー公式戦となった国内唯一の大会を6度目の挑戦にして日本勢として初制覇。「信じられない。本当にうれしい。きょうはパーティーですね」。有明の満員の観衆から総立ちで拍手が送られる中、錦織は何度も頭をかいて歓喜に浸った。

 今季ツアー2勝で、準決勝では全米覇者のA・マリー(英国)を下して勢いに乗る1メートル96のラオニッチの強力サーブに、こん身のリターンで対抗した。強烈なスピンがかかった跳ねるボールにも飛びついて食らいついた。サービスエースは14本許したものの、準決勝までで1ゲームしかサービスゲームを落としていない相手から計4度のブレークに成功。じわじわと追い詰め、最終セットは6―0と圧倒した。

 プロ6戦目の08年2月デルレービーチ国際で衝撃的なツアー初優勝を遂げてから4年8カ月。2勝目までの道のりは長かった。09年には右肘を手術するなど常に故障に悩まされてきた。昨オフは陸上の室伏広治のトレーナーでもあるロバート・オオハシ氏の指導を受けるなど体力強化に力を注いできた。夏場もフットワークのトレーニングを取り入れ、下半身はパンツのサイズが変わるほど太くなった。今季はフルセットまでもつれた試合は18勝3敗。「体力勝負で3セットを勝てたことがうれしかった」と体力アップの成果を発揮した。

 精神面の成長も大きい。今大会はここまで08年の3回戦が最高。国内では気持ちが空回りした。今季は1月の全豪で日本男子80年ぶりにベスト8入りを果たし、8月のロンドン五輪でも88年ぶりの8強入り。「自信がついたことが大きい。プレーも安定して、強い気持ちで臨めるようになった」。前夜はベッドに入ってから約1時間考え込んで眠れなかったが、一夜明ければ平常心で戦うことができた。

 今大会後の世界ランキングは自己最高の15位となる見込みだ。「今後につながるいい大会になった」。最終目標は4大大会日本人初制覇。その距離はまた少し縮まった。

 ▽楽天ジャパン・オープン 日本で開催される唯一の男子ツアー大会。ツアーは09年から4大大会を頂点に、ATPマスターズ1000(9試合)、ATP500(11試合)、ATP250(50試合)の4段階で格付けされる。上位大会ほど世界ランクに反映するポイントが高い。ジャパン・オープンはATP500で、錦織が08年に優勝したデルレービーチ国際はATP250に相当。今大会の優勝賞金は約30万8000ドル(約2400万円)。また、ツアー公式戦になる前の72年第1回大会では坂井利郎が優勝している。

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