日馬ライバル激励 稀勢へ「待ってますよ」

[ 2012年9月30日 06:00 ]

元栃乃洋の断髪式で両国国技館で土俵入りをする横綱・日馬富士

 大相撲の第70代横綱に昇進した日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)が29日、初めて両国国技館の本土俵で土俵入りを披露した。元関脇・栃乃洋の竹縄親方(38)=本名・後藤泰一、春日野部屋=の引退相撲に参加した新横綱は不知火型を無難にこなし、観客の声援を浴びた。支度部屋では一番奥に陣取り、ライバルだった大関・稀勢の里(26=鳴戸部屋)に一層の精進を厳命するなど、第一人者としての責任感を示した。

 看板力士としての風格と自覚を漂わせた。西支度部屋の一番奥。朝青龍が引退した10年2月以降は誰も座ることのなかった横綱の指定席に、日馬富士がどっかりと腰を下ろした。部屋の全てを見渡せる絶好の場所に新横綱は「眺めがいい。今までとは全然違う」とご満悦。関取衆のあいさつには笑顔で応じていたが、大関・稀勢の里には「(先に横綱になって)待ってますよ」と言葉を掛けた。ともに04年九州場所新入幕。これまで切磋琢磨(せっさたくま)してきたライバルへのメッセージには「早く上がってこい!」との激励の意味が込められていた。

 この日は両国国技館で初めて不知火型を披露した。前日の明治神宮よりも6秒早い1分47秒。見せ場となる、せり上がりはやや早いようにも見えたが、所作は間違えずに無事こなした。横綱2人の土俵入りは、10年10月3日の朝青龍の引退相撲以来727日ぶり。2横綱の不知火型共演は史上初となった。土俵入りも2回目だけに「リラックスしてできた。所作は大丈夫。もう頭の中に入った」と日馬富士は余裕の表情で話した。取組では白鵬と初の横綱対決に臨み、左四つの体勢から寄り切り。館内から割れんばかりの拍手を浴び「温かい拍手があってよかった」と安どの様子だった。

 24日から始まった昇進スケジュールもこの日でひと段落。さすがの横綱も「あした(30日)はやっと休みになります」と表情を崩したが、10月1日の全日本力士選士権では、横綱初のタイトルに挑む。

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2012年9月30日のニュース