野球賭博で出場停止から2年…松鳳山、恩返しの大関撃破

[ 2012年9月13日 06:00 ]

琴欧洲(左)を押し出し白星を挙げた松鳳山

大相撲秋場所4日目

(9月12日 両国国技館)
 松鳳山が琴欧洲を押し出して初白星を挙げ、松ケ根部屋の所属力士として初の大関戦勝利を飾った。2年前の野球賭博問題に関与しながら申告せずに2場所停止処分を下され、一度は幕下に陥落。角界から身を引くことも考えた力士が恩返しを果たした。琴奨菊と把瑠都の2大関がこの日から休場したが、上位陣は白鵬、日馬富士、稀勢の里が全勝をキープ。勝ちっ放しは平幕の隠岐の海らを加えて6人。
【取組結果】

 一度は“クビ”を覚悟した男が、この日一番の歓声を浴びた。「稽古場ではかなわなかった」という同じ二所ノ関一門の琴欧洲を気迫で圧倒。師匠の松ケ根親方(元大関・若嶋津)から「どうせ負けるなら前に出て負けろ」と言われた通り、突っ張りで果敢に攻めた。もろ差しとなっても右からの下手投げで崩し、最後は必死の形相で押し出した。

 「親方に迷惑をかけた。クビにするのは簡単だったと思うけど、もう一回チャンスをくれた」。十両だった2年前の夏、野球賭博に関与しながら申告せず名古屋場所に出場。他の関与していた力士が謹慎していただけに解雇の可能性もあったが、下された処分は秋場所から2場所出場停止。角界から身を引くことも考えたが、母・松谷輝美さん(53)から「ここでやめたら支えてくれた人に恩返しもできない」と説得された。思い直し「稽古していい相撲を取ること」に集中。地元・九州場所も福岡県築上郡の実家に寄ったが、その2カ月前に亡くなった祖母の墓参りに出向く以外、外出は控えた。

 昨年初場所で復帰し、2場所連続の幕下優勝で十両に復帰。そして自己最高位で迎えた今場所、大関を破った。支えてくれた両親への恩返しは2カ月後の地元場所を新三役で迎えること。「ここで気を引き締めないと」と28歳は喜びを抑えた。

 ▼松ケ根親方 部屋としても、弟子が初めて大関に勝ったので、うれしい。最近は部屋頭の自覚も出て、後輩を引っ張っている。今度は部屋初の三役を目指してほしい。

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2012年9月13日のニュース