藤田40代7度目V 109ホール目の歓喜

[ 2012年5月28日 06:00 ]

優勝した藤田は笑顔でトロフィーを掲げる

男子ゴルフツアー ダイヤモンド・カップ

(5月27日 千葉県木更津市 ザ・カントリークラブ・ジャパン=7199ヤード、パー72)
 藤田寛之(42=葛城GC)が“109ホールの激闘”を制した。首位から出て後半に2つもダブルボギーを叩いたが、73で踏みとどまって通算14アンダー。2位に3打差をつけて逃げ切った。開幕3日前には全米オープン予選で37ホールを戦って出場権を獲得。さらに今季2勝目となる通算13勝目で賞金ランクは首位に浮上。衰え知らずのアラフォー戦士はミズノオープン(6月21日開幕)までの賞金ランク上位2位に与えられる全英オープン切符獲得にも大きく前進した。

 マラソンのような1週間を無事に走り終えようかという終盤、思わぬミスが飛び出した。15番の2打目、フェアウエーから9Iでまさかのシャンク。ボールはOBゾーンに消え、さすがの藤田も「予期せぬことで頭が真っ白になった」とダブルボギーに顔をしかめた。

 だが、歩調を合わせるように2位のアフィバーンラトも14番から3連続ボギーと失速。“敵失”にも救われて最後は3打差をつけての優勝になった。11番のOBによるダブルボギーなど、度重なるミスにも不思議と舞い込んできた13勝目に「こんな勝ち方は初めてです」と藤田は苦笑した。

 21日には全米オープン予選で1日37ホールを戦い抜いた。さらに優勝争いをけん引し続けて4日間で72ホール。1週間で109ホールの長丁場に「ここ最近では一番疲れている」という状態だったが、「体のことは全部お任せしてる」という太田敦トレーナー(35)の毎晩のマッサージが辛うじて戦闘態勢を整えてくれた。疲労困憊(こんぱい)でケア中に寝てしまうことも多かったが、開幕前日の23日が誕生日だった太田氏にも最高のプレゼントを贈った。

 不惑を迎えて早くも7勝目を挙げ、30代までの優勝回数を上回った。世界ランクも石川遼を抜いて初めて日本人最上位になる可能性もある。「タイプ的にはコツコツ型。決してスーパースターじゃない」という藤田のたゆまぬ努力の支えは海外メジャーの経験。そこで味わった悔しさ、世界の壁の高さがゴルフに打ち込む力になってきた。

 全米、全英とこれから大舞台が続く。「40代はまだまだやれますよ。あまり言うと50代の中嶋さんや60代のジャンボさんに怒られる」。老いてますます盛んな42歳。藤田のゴールはまだ先にある。

 ▼2位K・アフィバーンラト 負けたのは残念だが、優勝争いの中で得たものも大きい。(終盤に自滅したが自己最高位)

 ▼3位白潟英純 このコースはチャレンジツアーでプレーしている。その経験が生きた。(4日間アンダーパーで回り上位フィニッシュ)

続きを表示

2012年5月28日のニュース