日本女子 崖っ縁最終戦で敗北も五輪切符つかんだ!

[ 2012年5月28日 06:00 ]

第3セットをとりロンドン五輪出場を決めた日本

バレーボール女子ロンドン五輪世界最終予選兼アジア予選最終日 日本2-3セルビア

(5月27日 東京体育館)
 世界ランキング3位の日本は同6位のセルビアにフルセットで敗れた。4勝3敗の勝ち点12で4位に終わったが、同12点のタイをセット率で上回り、上位3チームをのぞくアジア最上位で3大会連続の五輪切符を獲得した。エース・木村沙織(25=東レ)は不調だったが、荒木絵里香主将(27=同)がチーム最多21得点でカバー。真鍋政義監督(48)率いる“火の鳥ニッポン”は84年ロサンゼルス大会以来のメダルを目指す。6月1日からは男子の最終予選が始まる。

 想像以上に険しかったロンドンへの道を、チーム全員で切り開いた。0―3、1―3負けで五輪出場が断たれる状況で迎えた運命のセルビア戦。日本は第1、3セットを奪ってロンドン行きを決めたが、勝ちきれずフルセットで敗れた。胸を支配したのは、満足感ではなく安ど感。コート上でのインタビュー。「おめでとうございます!」と声をかけられた真鍋監督は、「ありがとうって言っていいんですかね。こういう形(フルセット負け)になりましたけど、選手は頑張りました」と微妙な笑みを浮かべた。

 エース・木村のスパイクがまったく決まらない苦境で、頼れる主将が存在感を見せつけた。荒木が次々にスパイクを突き刺し、チーム最多の21得点をマーク。ここまでの6試合、本来のパフォーマンスから程遠かったが、大一番でエースの不調をカバーした。「今までチームに迷惑をかけていたので、この試合にかける思いは強かった」。真鍋体制で主将の大役を務める27歳が、65・38%という驚異のスパイク決定率でけん引した。

 スタッフも一丸になってつかんだ五輪切符だ。真鍋監督は就任当初から指導の担当分野を細分化し、日本初のコーチ4人制を敷いた。安保澄ディフェンス・コーチ(41)、川北元戦術戦略コーチ(36)、大久保茂和ブロック・コーチ(32)、山口祐之サーブ・コーチ(39)がその4人。iPadなどを駆使し、膨大なデータと格闘する現代バレーにおいて、監督一人で全てを処理するには限界がある。76年モントリオール五輪金メダルメンバーの荒木田チームマネジャーは「誰に聞けばいいか分かりやすいし、選手にとってもやりやすい」と説明した。真鍋監督、4人のコーチは毎日の練習前、入念なミーティングを行う。試合前になると徹夜覚悟で作戦を練る。この日の荒木の活躍は入念なデータ分析によるものだった。

 今大会で目標に掲げていた1位通過には遠く及ばなかったが、「予選で苦しかった分、チームが強くなれる。金メダルを目指して頑張りたい」と荒木主将。指揮官も「一番、輝くメダルに挑戦したい」と力を込める。ロンドンで36年ぶりに金メダルを獲得した時、日本の「新黄金時代」の幕が開く。

 ▼佐野優子 こういう形だが、切符を取れてホッとしている。もう一度全員で、五輪でメダルを獲るために頑張りたい。

 ▼狩野舞子 (個人としては)いいプレーもあったが、波もあったので改善したい。(五輪メンバーに)絶対に残る。 

 ▼迫田さおり よかった。ホッとしている。(キューバ戦の活躍で)チームに貢献できてよかった。

 ▼平井香菜子 長い緊張から解放された気持ちだが、これからが本番。

 ▼山口舞 厳しい戦いが続いたが、チーム全員が必死で戦った。

 ▽ロンドン五輪の試合方式 国際連盟から正式に発表されていないが、08年北京五輪では出場12チームが6チームずつ1次リーグ2組に分かれて総当たり戦を行い、各組上位4チームが決勝トーナメントに進出した。北京と同じ方式が採用されるのなら、日本は開催国の英国、世界4位のイタリアなどと同組になる。

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2012年5月28日のニュース