鶴竜 2場所連続白鵬に土!昇進へ望みつなぐ

[ 2012年3月20日 06:00 ]

<オオ相撲春場所9日目取組>白鵬を寄り切りで破り、勝ち名乗りをうける鶴竜に頭に投げられた座布団が止まる

大相撲春場所9日目

(3月19日 大阪府立体育会館)
 8日目に初黒星を喫した関脇・鶴竜が全勝の横綱・白鵬を寄り切り、給金を直した。大関昇進の目安の3場所合計33勝には今場所13勝が必要だが、2場所連続で横綱に土をつけ、昇進への望みをつないだ。全勝がいなくなり、白鵬、大関・把瑠都、鶴竜、平幕の翔天狼が1敗で並んだ。

 今場所初めてとなった平日の満員御礼で、座布団も初めて乱れ飛んだ。その中を髪を振り乱した鶴竜が大きく肩で息をつきながら引き揚げていった。初顔から20連敗した白鵬を初場所に続いて撃破。「とにかく思い切り当たり、動いて動いていこうと。よかったです」。50秒を超える相撲で消耗が激しかったため、支度部屋では笑みを見せる体力すら残っていなかった。

 攻めの姿勢を貫いた。白鵬が立ち合いで右からかち上げてきたが、素早くいなして右を差した。そこから頭をつけ、左上手をつかむ万全の体勢。上手を取れない横綱が左を巻き替えにきたところで一気に寄り切った。

 師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)のゲキで目覚めた。稀勢の里に一方的に押し出された前日の相撲について「何で思い切りいかないんだ。チャレンジ精神で何でもやればいい」と叱責(しっせき)された。この日の朝稽古は「初日の気持ちに戻るため」報道陣をシャットアウト。稽古に集中して敗戦ショックを断ち切り、思い切りの良さを取り戻した。

 協会幹部も相撲内容を高く評価した。松ケ根審判長(元大関・若嶋津)は「先手先手でいったし、力をつけている。執念じゃないかな」と気迫あふれる内容に賛辞を贈った。北の湖理事長(元横綱)は「うまさが目立った。白鵬は同じ相手に2連敗となるが、鶴竜を褒めるべき。優勝争いも面白くなった」と称えた。

 昇進ラインは今場所13勝。残り6日で1敗しか許されない状況だが、綱獲りの把瑠都、全勝の横綱撃破でムードは盛り上がってきた。それでも鶴竜は無心を強調する。「まだ何も決まってませんから。そういう(大関獲りの)ことを考えず相撲を取れたのがよかったんで」。無我夢中で取り切った先に、大関という地位が待っている。

続きを表示

2012年3月20日のニュース