大関獲りへ一直線!琴奨菊ガブった3連勝

[ 2011年9月14日 06:00 ]

阿覧を破り3連勝、懸賞金を手に土俵を下りる琴奨菊

大相撲秋場所3日目

(9月13日 東京・両国国技館)
 大関獲りのかかる関脇・琴奨菊がガブリ寄りで阿覧を圧倒。無傷の3連勝を飾った。大関獲りに失敗した名古屋場所の挫折を乗り越え、祖父に昇進の吉報を届けるために奮闘を続けている。綱獲りに向け、もう1敗も許されない状況となった大関・日馬富士は速攻で若の里を寄り切った。大関獲りの鶴竜は栃煌山に押し出され、痛い連敗となった。
【取組結果】

 歓声を浴びた花道で、琴奨菊は目を糸のように細くした。綱獲りの日馬富士、大関獲りの鶴竜がすでに黒星を喫している中での3連勝。「よかった。(変化を)怖がらずにいったのがよかった」と満足げに振り返った。

 怪力の阿覧相手に立ち合いで左を差し、右はおっつけながら上手をつかみ、万全の体勢をつくった。最後は代名詞になりつつあるガブリ寄り。前日は中途半端な立ち合いで勝ったためブーイングを浴びたが、この日は一転。力士の敢闘精神を観客が評価するマークシート投票で3位に入った。

 意識改革の成果だ。名古屋場所は上位力士との最後の対戦だった11日目に横綱を破って9勝目を挙げ、大関昇進の目安の3場所合計33勝となる12勝到達は確実とみられたが、終盤で平幕に連敗して好機を逃した。「精神面を鍛えないと」と反省し、イチローらスポーツ選手に関連する本を読みあさり、メンタル強化に取り組んだ。今場所は「気持ちが落ち着いている。いい感じです」と効果を実感している。

 今場所こそ“恩人”に昇進を報告する。相撲界に導いた祖父・菊次一男さんが他界したのは08年9月4日。その祖父は関取になっても2桁勝利を挙げても褒めてくれなかったが、周囲には「一弘(琴奨菊)が出世せんなら、他の誰が出世するか」と漏らすなど、孫の活躍を信じていた。懐に“お守り”のように祖父の写真をしのばせている琴奨菊は8月上旬に福岡県柳川市に帰省。墓参りではいつもより長い時間、手を合わせ、2度目の挑戦での昇進を誓った。

 昇進には12勝が必要だけに「まだ3日目。これから」と浮ついた様子はない。挫折を味わった男はひそかに牙を研いでいる。

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2011年9月14日のニュース