三塚 天国の父にささぐ…涙のメジャー初制覇

[ 2011年9月12日 06:00 ]

優勝インタビューで涙を見せる三塚優子

日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯最終日

(9月11日 千葉・キングフィールズGC=6700ヤード、パー72)
 3打差の2位から出た三塚優子(26=フリー)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算6アンダーで逆転優勝を飾った。大会2日目の9日は昨年3月に亡くなった父・康輝さん(享年72)の誕生日。天国の父にささげるメジャー初制覇となった。昨季はスロープレーによるペナルティーを不服とした途中棄権騒動で2カ月の出場自粛も経験。騒動後は初勝利で、2年ぶりのツアー4勝目。メジャー優勝者に与えられる来季から3年のシード権も獲得した。
【最終R成績】

 ウイニングパットを打つ前から三塚の瞳は潤んでいた。「今週の2日目は父の誕生日だから、絶対に勝ちたかった。その思いがあふれました」と感極まりながら沈めた30センチのパット。復活優勝に、笑顔と涙が一緒にあふれ出した。

 横峯に3打ビハインドで迎えた最終日。「勝つのはさくらだと思っていたから落ち着いてできた」という割り切りが好プレーを生んだ。5、6番の連続バーディーで横峯を捉えると、9番で単独トップに。優勝を意識したという17番でショットが乱れたもののピンチをしのいだ。

 09年末に米ツアー予選会に挑戦しながら失敗。昨年3月にゴルフの手ほどきをしてくれた父・康輝さんをがんで亡くした。そして同5月のサロンパス・カップでは、スロープレーによる2打罰に不満を爆発させて途中棄権という騒動を起こした。出場自粛からの復帰後も精彩を欠き、シード確保がやっと。大器の面影はすっかり消えていた。

 「去年はいろいろなことがあって、もう勝てないんじゃないかと何回も思った。ゴルフをやることがつらかった」

 今季もクラブ調整がうまくいかず、1Wの飛距離が大幅に落ちた。飛ばし屋ゆえに、そのストレスはじんましんが出るほどだった。6月には2度の血液検査を受けたが、体に異常は見つからない。苦しい時期に思い出したのが、父の遺言状にあった「これからも何も変えずに頑張ればいい」というメッセージだった。

 高校時代のトレーナーに約10年ぶりに連絡を取り、クラブも好調だった2年前のものを引っ張り出した。飛距離は約30ヤードも戻り、じんましんも消えた。深いラフを怖がるよりも、思い切り飛ばして飛距離を稼ぐマネジメントが生きた。亡き父はいつも「日本一の選手になれる」と励ましてくれた。女子プロ日本一を決めるメジャー大会。少し遠回りはしたものの、三塚は父の言葉を証明してみせた。

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