パトロン恐れない!遼、緊張感を「いい方向に」

[ 2011年4月5日 06:00 ]

ドライビングレンジでアイアンの練習をする石川遼

マスターズ

(4月7日 米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC)
 今季メジャー初戦となるマスターズは米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCで7日に開幕。4日からはパトロンと呼ばれるギャラリーが来場する公式練習がスタートした。3年連続出場となる石川遼(19=パナソニック)はこれまで、大歓声に包まれての練習ラウンドに苦労してきたが、今季は“一球入魂練習”を取り入れ、大歓声を追い風に変える準備を整えた。

 まだ人けの少ない日曜日のオーガスタ。選手の姿もちらほらで、石川はメンバーのアマチュアも交じった練習場で打ち込んでからアウトの9ホールを回った。4日の月曜日からはトーナメントウイークに突入。コースの雰囲気が一変するのを覚悟した上で公式練習日を迎える心構えを語った。

 「練習日からギャラリーがいることがオーガスタで一番苦手だった。練習にならないよ、と思っていた。でも今年はあの緊張感をいい方向に持っていきたい」

 マスターズでは月曜日からパトロンと呼ばれる多くのギャラリーが詰めかける。目の肥えたパトロンたちを前に、いいプレーを見せようと練習日から浮足立っていたのが過去2年間だった。

 「経験の少ない僕らよりもパトロンの方は来場回数が多い。選手としては“あんな練習じゃあダメだな”と言われてるような気持ちになる」とその審美眼におびえていた。初出場した09年には異様な雰囲気に腰が引け、宿舎に1日引きこもって調整したこともあった。

 今年は大観衆をプラスに受け止められる。今季の練習ラウンドでは、練習球を打ちながらも最初に打ったボールを必ずホールアウトするようにしてきた。2月のノーザントラスト・オープンで回った池田勇太のやり方を取り入れたもので、林に打っても隣のコースに曲げてもそのボールはカップインするまでプレーする。常に試合を想定することで精神力を養い、初日からのスタートダッシュにもつなげやすいとの考えがあるという。

 「練習ラウンドと試合の雰囲気をいかに近づけられるか。そういう意味では練習日からギャラリーが入るシステムは僕にはいい」。大震災に見舞われた日本の選手というだけでなく、獲得賞金の全額などを寄付するという石川の義援金活動は海外でも反響を呼んだ。例年以上にパトロンから注目される可能性はある。高い注目と期待、そして2月から思うように結果の出ていないジレンマ。練習日にそれらを乗り越えれば、大会での活躍が見えてくる。

 【遼過去のマスターズ】

 ▼09年大会 初挑戦は通算6オーバーの73位で予選落ちを喫した。初日は後半に巻き返し1オーバーの51位につけたが、2日目に苦戦。予選カットラインまであと1打の状況だった16番パー3でピンを果敢に攻めたのが裏目に。ティーショットがわずかにグリーンに届かず手前のバンカーにつかまり、痛恨のダブルボギーを叩いた。

 ▼10年大会 初日は粘りのゴルフでパープレーで回り、32位と上々のスタート。しかし、決勝ラウンド進出が見えた2日目の後半からティーショットがぶれボギーを重ねた。カットラインぎりぎりで迎えた最終18番は第1打を左の林に曲げ、5メートルのパーパットもカップをかすめてボギー。わずか1打及ばず2年連続の予選落ちとなり涙を流した。

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