“砂かぶり”から300人が八百長監視!?

[ 2011年3月10日 06:00 ]

 大相撲八百長問題の再発防止策を検討する「大相撲新生委員会」(島村宜伸委員長、再発防止委員会から改称)は9日、東京・両国国技館で第1回の会合を開き、6項目の再発防止策の骨子をまとめた。その中で、監察委員会強化の一環として、土俵下の「たまり席」で観戦する維持員にマークシート方式の採点表を配布し、取組ごとに力士の敢闘精神を評価してもらう前代未聞の防止策も提案した。実現すれば、5人の審判員以外に300人が“砂かぶり”から八百長監視の目を光らせることになる。

 放駒理事長(元大関・魁傑)自らが人選して立ち上げた「大相撲新生委員会」が、初会合で打ち出した八百長防止策は、協会員ではない維持員による異例の監視システムだった。土俵下の“砂かぶり”と呼ばれる「たまり席」を利用する300人の維持員に対しマークシート方式のアンケート用紙を配布し、5段階評価で採点をしてもらうもので、敢闘精神あふれる相撲には5点満点、逆に明らかに敢闘精神に欠け、無気力相撲と言われても仕方ない内容には1点――という具合に取組をチェックする。しかも、点数を集計して発表することも検討しているという。

 この日の会合では、座長に就任した村山副理事長の私案を叩き台にして、監察委員会の強化、支度部屋の徹底監視、内部告発の受け皿となる「ホットライン」の設置や処罰規定の見直しなどの骨子6項目を決定。特に、これまで十分な機能を果たしておらず今回の八百長問題を引き起こした要因とも指摘されている「監察委員会」については増員や権限を強化するなど、文字通りの“監視機関”の権限を与えることになった。そして、この監視強化策の一環として提案されたのが“砂かぶり”からの監視だった。

 維持員は相撲協会に一定の維持費を納めて土俵下付近の「たまり席」を利用している好角家のこと。協会員以外からの監視の目が光ることになるだけに、現役力士からは「あっけない相撲が疑わしいと言われる可能性もある」との声も上がったが、身内に甘いと言われてきた協会にとっては、起死回生の改革案にほかならない。

 新生委員会の安西委員は「八百長が起きにくい態勢をつくることが大事」と説明。今後は特別調査委員会の調査内容なども参考にして、さらに防止策を練っていくという。再発防止策は全容解明、処分とともに放駒理事長が「3点セット」と重要視する本場所再開への条件の一つ。相撲協会が信頼を回復するために打ち出した“維持員監視システム”が、角界再生に一役買うかどうか。

続きを表示

2011年3月10日のニュース