情熱の有森裕子理事長「目標は新聞のスポーツ面」

[ 2009年11月27日 06:00 ]

<第11回スポーツニッポンフォーラム>盾を手に笑顔を見せるNPO法人スペシャルオリンピックス日本・有森裕子理事長と巨人・原辰徳監督

 スポーツ振興支援と国民の健康づくりを考える異業種交流勉強会「第11回スポーツニッポンフォーラム」が26日、東京・文京区の東京ドームホテルで開かれた。「FOR ALL 2009」の表彰式も行われ、特別賞は認定NPO法人 スペシャルオリンピックス日本(有森裕子理事長)が受賞。副賞として50万円が、スポーツニッポン新聞社・山本進社長から贈呈された。

 表彰式に出席した日本スペシャルオリンピックス(SO)の有森裕子理事長(42)は、壇上で力強く訴えた。「人間はチャンスがあれば可能性は伸びる。夢も出てくるし、その道ができる。知的発達障害者は、かつてチャンスがもらえなかったが、今、スポーツを通して自分の可能性を一歩一歩、試して世界に向けて出ていっているのです」。受賞の喜びよりも何よりも、知的発達障害者がスポーツを通して社会性をはぐくむ意味を知ってほしかった。
 日本SOにとって今年は「15周年」という区切りの年。現在、活動には全国47都道府県で1万4381人ものボランティアが参加するまでに発展を遂げたが、94年の発足当時は「役員を除くとスタッフは私1人だった」と渡辺浩美事務局長。だがその後、全国で年間100回を超すコーチトレーニング(指導者講習)を行ったことに加え、地道に各都道府県を回って講義を重ねる“草の根運動”を続けた。その結果、01年にNPO法人として認証され、団体としての可能性を大きく広げた。アスリートの数も年々伸び続け、発足当初は100人にも満たない状況だったが今では7434人が活動に参加する大所帯となった。SO日本の活動にも携わっている山下泰裕氏(東海大体育学部長)は祝辞で「感無量です。障害を持った方と交流すると人間が本来持ってる優しさ、思いやりにあふれる。そんなスペシャルオリンピックスをこれからも応援していきたい」とエールを送った。
 来年11月には大阪で第5回となるナショナルゲーム(全国大会)が開かれる。有森理事長は「目標は堂々と(新聞の)スポーツ面に載ることです。まだまだスペシャルオリンピックスは知られていない。これを機に知っていただきたい」と夢を語った。SO日本の大いなる活動は、まだ始まったばかりだ。

 ▼スペシャルオリンピックス日本(SO日本)知的発達障害者にスポーツトレーニングのプログラムや競技会を日常的に提供している認定NPO法人。理事長はバルセロナ五輪女子マラソン銀メダリストの有森裕子さんが務め、今秋設立15周年を迎えた。1968年に米国で誕生したSOを母体にして94年に発足。今年、47都道府県すべてに地区組織が設立された。運営はすべてボランティアと善意の寄付によって行われる。

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2009年11月27日のニュース